日弁連算定表の影響を受けた?学費を12で割って上乗せした養育費

高等教育費の負担については、原則的に、承諾がない限り負担をする必要はありませんが、別居前後の状態から承諾があったものと事実認定されることも少なくありません。

子が大学に進学した場合

 

 従来は、収入がある程度あり、親が大学を卒業している家庭であれば、その卒業までを未成熟子として扱うことになります。

 そこで、その費用についての分担が問題になりますが、その場合は子の生活費指数90が公立高等学校の教育費相当額として織り込み済みになっているので、原則としてはオーバーフローした部分が対象になります。そして、こどもに奨学金やアルバイト収入がある場合はそれらの事情も考慮して分担額を決めることになります。

 また、収入の関係で一部は奨学金やアルバイトでおぎなうことを予定していた場合には、これを前提に分担額を決めることになります。

養育費に単純に12で割って上乗せした金額(名古屋家裁平成30年5月審判)

名古屋家裁は新算定表の影響を受けたといえる

 

 論旨は以下のようなものです。

 母親及び父親の収入額、いずれもが私立の4年生大学を卒業していること、長女は私立の短期大学を進学しており、この学費は父親が負担していたこと、二女の学歴、進学先の種別や在学中の学費の総額その他諸般の事情に鑑みると、父親に二女の専門学校の学費を分担させることが相当といえる事情があるから、この学費の一部を養育費に加算するべきである。

 そして、二女が進学した専門学校の学費は1年当たり119万2500円であるところ、いわゆる算定表に織り込まれている公立高校の教育費相当額33万3844円を控除し、その残余を双方の基礎収入、母親については39パーセント相当額、父親については収入の37パーセント相当額で按分すると、父親が分担すべき範囲は月額5万3478円程度となる。なお、子の養育費は父母が収入に応じて分担するのが原則であり、分担額の決定に当たって将来の財産分与を斟酌するのは相当ではない。

(119万2500円-33万3844円)×247万3998円/(83万6245円+247万3988円)÷12≒5万3478円

 これを踏まえて、二女が専門学校に進学した平成30年4月以降の養育費については、学費分として月額5万円を加算することとする。また、二女の専門学校在学中は、二女が自己の収入により生計を維持するのは困難と思われるから、養育費の終期は、二女が専門学校を卒業する予定の平成32年3月までとすべきである。

 最近、習い事や学費について、簡単に上乗せをする審判が散見されますが、まだまだマイナーだと思います。原則は20歳以上は自助の原則が妥当するからです。場合によっては、離婚訴訟の場合は20歳までの養育費しか請求できません。非訟で争うか否かも含めて離婚に得意な弁護士に法律相談されることを、お母様にもお父様にもおすすめいたします。なお、算定表から大幅に超える5万円を上乗せしていますが、裁判官の裁量は学費も含めて1万円から3万円程度ともいわれており、算定表における予測可能性を欠けるものになるという指摘が妥当するかもしれません。

 本件は、学費を12で割って、それを父親側の算定表額に上乗せしたというものであり、実務上の予測可能性という観点からも、参考になると思われます。

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