有責配偶者からの離婚請求をした大手企業幹部の離婚を成立させた事例
有責配偶者からの離婚希望の法律相談に誠実にお応えした事例
相談者情報
Aさんは、中川自動車(仮名)の幹部でした。
Aさんは、Bさんと結婚しており、Cさん、Dさん、Eさんのお子さんがいますが、いずれも成人し独立されています。
本件は、いわゆる有責配偶者からの離婚請求に当たりますので、判例法理により信義則上、①長期の別居、②未成熟子がいないこと、③Bさんが離婚後経済的・精神的に著しく過酷にならないこと―の例外要件を満たす場合、離婚が認められますが、多くは、昭和62年の最高裁判例からすると、おおよそ高裁の判例レベルでは6年程度がメルクマールになるものと思われます。
Aさんとしては、内縁の妻のFさんと婚姻するために、Bさんとの離婚を望んでいます。
最高裁の判例に照らして離婚をするため、調整をする!
既に述べたように、AさんとBさんの間には、不貞行為があり、Aさんが有責配偶者であるということについて、争いはありませんでした。
したがって、最高裁昭和62年9月2日大法廷判決を前提としつつ、その後の判例や家庭裁判所のプラクティスを参考に、調停ないし和解の機会をうかがうことになります。
Aさんとしても、概ね判例法理は理解しており、少なくとも長期の別居及び未成熟子がいないという要件は満たすので、最後の離婚により、Bさんが経済的に著しく過酷になるといえるかどうかについての調整をしていくということになると思われます。Bさんの所得は、一般的な会社員よりかは低いと思われるため、住居の手当をするのが望ましいと思われる案件でした。
有責配偶者からの調整の在り方について
住宅ローンの負担やその他の技術上の問題を解決し、Aさんが自己使用の必要性がない自宅をBさんに分与するという条件で和解しました。
その他、委細は色々あるかと思いますが、依頼者の意向もあり、詳しい財産給付を記すのは遠慮しておきたいと思います。
感情的な問題へのケアも怠らずに。
有責配偶者からの離婚請求の場合、Bさんの立場はセンシティブです。
したがって、最後まで様々な条件や要求が出されましたが、「やられっぱなし」というメンタル構造で臨むのではなく、ニーズにこたえてあげるという観点から納得して離婚してもらえました。
主には、①離婚する、②不動産を譲渡する、③登記手続をする、④一定金額の分与をする、⑤二重譲渡はしない紳士条項、⑥年金分割、⑦その他もろもろの条件―で調停が無事成立いたしました。
もっとも、相手方弁護士は検事出身の強気事務所ではありましたが、「訴訟に持ち込まれると、お宅、木っ端微塵になる可能性ありますよね」ということを示唆することも大切です。訴訟の見通し次第では、調停で和合の雰囲気が醸成されることがあるのです。したがって、譲歩し過ぎず、特有財産の存在も指摘しつつ、簡易迅速に終結することができました。加えて、一部は譲りましたが、その他、会社関係の社内預金の類は防衛できました。
有責配偶者で恋人がある方も、ぜひ、困難事例ほどヒラソルの弁護士にご相談ください。
本件調停には、真面目に態度で事前評議に臨み、また、双方弁護士の和解条項案に真摯に目を通す大曽根史洋判事の関与も少なからず影響していることと指摘しておきたいと思います。
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