離婚慰謝料について大幅に減額した事例
離婚後、夫から様々なリーガル・ハラスメントを受けた事例
相談者情報
長倉元春さん(仮名)は、高橋菜奈美さん(仮名)に対して、離婚後、①嫡出否認の調停、②財産分与の調停、③離婚慰謝料の裁判が起こされました。当事者間に長女・ララがいる。
このように見てくると、弁護士を介在させない協議離婚が良いわけではないことが良いとまではいえないことが分かります。離婚でこれ以上は金銭のやりとりや裁判をしないといった清算条項をもうけておかなければ、際限なくリーガル・ハラスメントを受けることがあります。
リーガル・ハラスメントのうち離婚慰謝料を請求された事案
元春さんが行った①嫡出否認の訴えについては出訴期間経過及び親子関係不存在確認に訂正後は、最高裁の判例違反を主張し、調停は不成立。次に、財産分与の請求を受けた事案については、菜奈美さんには元春さんに移転しなければならない財産はなく、財産分与請求権はないことを論証し、申立てを却下させました。
その後のリーガル・ハラスメントとして、離婚慰謝料訴訟が提起されました。論旨は、DNA鑑定を証拠として、不貞行為が存在すると主張するものが骨子でした。
全面的に争い、反訴を提起し、慰謝料を減額してもらう。
本件では、請求原因は、菜奈美さんの不貞行為をいうものですが、離婚後のDNA鑑定が理由であるようであり、そもそも、別居について主として又は専ら責任が菜奈美さんにあるとはいえない事例ではないかと考えられました。
このため、事実認定や証拠の取り上げ方には若干の不満が残るものとなりました。
夫にも責任があるという反訴を提起したこと
裁判所は、「不貞の慰謝料請求」と勘違いし、その他の離婚原因について審査しようとしなかったことから、訴訟物は、離婚自体慰謝料であることを明確にして、反訴を提起し、不貞の有無だけが争点ではないと警告を鳴らしました。
元春さんは、DNA鑑定を持ち出してララさんとの親子関係がないことを理由に、不貞行為が推定されるという主張であり、その相手方がAさんであるという主張はフェイスブックに登場しているから、という適当な主張でした。
これに対して、私たちは、離婚慰謝料は、別居に際して、主として又は専ら原因がある有責者が負担するものであり、別居について因果関係がないのに離婚慰謝料が認められるのはおかしい、と主張しました。
そのうえで、反訴を提起し、夫の責任原因を主張しました。
結論的には、夫の不貞疑惑を指摘し裁判官の心証を揺るがし、また、スポーツ仲裁裁判所でスポーツ選手のドーピング疑惑が取りざたされる場合の資料の①管理体制の不備、②守秘義務違反、③分析の誤り―の3本の柱を叩きました。
この結果、裁判所は、「原告と被告の婚姻関係の円満度は、被告の不貞行為以外の事情によって相当程度低下していたといえ、この点は、被告の不貞行為を理由とする離婚慰謝料の抑制事情として考慮すべきである」との判決を得ることができました。
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