ヒラソルの新サービス「婚約・事実婚等合意」のPROOFサービス誕生
はじめに
名古屋駅ヒラソル法律事務所では、婚約・内縁・同居・同性パートナーシップに関する合意書・契約書作成のサービス「婚約・事実婚・パートナー・同棲合意」です。これらの婚約・内縁・同居・同性パートナーシップ・婚前契約を事実証明するサービスとなります。当面は、電子署名や紙による署名を併用いたします。
名称は、「PROOF」です。
を開始しました。
このサービスをつくるにあたって、私たちが出発点にしたのは、「法律婚に至らない関係が、いかに法的保護から取り残されているか」という問題意識です。
例えば、結婚式の前日に婚約解消されても慰謝料は30万円程度ですが、これは近時の物価に合っていませんし、結婚式に親族や会社関係の方を招待されていた場合は退職も検討することでしょう。
事前救済も口約束のためなく、事後救済も十分でないことに問題意識を感じたためです。
以下、その背景を説明します。
1. 口約束で成り立っていた関係の変容
婚約・同居・パートナーシップは、かつては口約束によって進められることが当然とされていました。
一例を挙げると、結婚紹介所を成婚退会しても契約書は締結しません。
また、マッチングアプリで結婚約束をしても契約書は締結しません。
そうすると、いったい、例えば、当事者間の婚約は、どのような未来に向けてのルール・メイキングがされているのかが分からないのです。
昔は、家父長などの両親や親族が関係に介入し、非公式な形で約束を担保する仕組みがあったからです。
また、万一トラブルが生じた場合も、地域共同体や仲介者が調整役を担い、法的手続きを経ずに解決されることが一般的でした。
婚約についても、かつては「1年程度を目途に結婚式を挙げる」という社会的な暗黙のルールが存在し、当事者双方が貞操を守り、結婚に向けて誠実に準備を進めるという合意が共有されていました。
しかし現在、状況は大きく変わっています。例えば、判例では、婚約は、結納、同棲、婚約指輪の交代、両親の懇談会が行われていないとほぼ婚約の事実認定を得られなくなっており、ほぼ、「婚約」という概念は、世間と異なり、裁判上は、利用されていなくなっている可能性があります。
- 結婚相談所やマッチングアプリを通じて知り合い、互いの経歴や人となりを十分に知らないまま婚約に至るケースが増加している。また、その間もより条件の良い人を探す人もいる。
- 核家族化・都市化により、親族や地域共同体による関係への介入・調整機能が失われた
- 婚約期間が長期化・曖昧化し、「いつまでに何をする」という合意が形成されないまま関係が続くことが多くなった
こうした変化にもかかわらず、法的な枠組みは追いついていません。社会学的には法制度や契約書で手当をするべきところですが、婚約・内縁・同居・パートナーシップは、法律婚と異なり、法的保護の範囲が著しく限られているのに、ほぼすべてが口約束です。
このため、トラブルが発生した際に事後的に救済を得ることが極めて困難です。
しかし、口約束であればトラブルが生じるのは当たり前であり、本来、事前約束を定着させるのが、インクルーシブという真面目な交際のあるべき姿なのではないかと社会学の研究者としては思うに至りました。
2. 現行法における法的救済の限界
慰謝料額の低さ
婚約破棄による慰謝料は、現在の相場として概ね30万円前後とされています。しかし現実には、結婚式の準備だけで200〜300万円を費やすことも珍しくありません。また、婚約を前提として転居・退職・同居を行った当事者が被る実損は、30万円をはるかに超えます。
この乖離は、慰謝料の相場が物価・生活実態を反映していないことを示しています。婚約者であるからこそ性的関係や財産的な協力に応じた、という事情があるケースにおいては、200〜300万円程度の賠償が認められてもおかしくないと私たちは考えます。
カジュアルな関係とエクスクルーシブな関係の区別
現行の法律・判例は、「カジュアルな交際」と「エクスクルーシブ(排他的)な関係」を必ずしも明確に区別できていません。
高校生・大学生のような交際や、特段の約束を前提としない自由な関係は、「カジュアルな関係」です。
日本国憲法24条が理想とする「両性の合意」による自由な結合の一形態として、多重交際等に直ちに損害賠償責任が生じるものではないと考えられます。
一方、婚約・内縁・同居・同性パートナーシップといった、互いに他の者との交際を排除し合う密度の高い関係を「インクルーシブな関係」といいます。
それを不当に破棄すれば相応の慰謝料請求権が発生するものでしたが、近時は、離婚慰藉料の低廉傾向に押されて、本当に精神的慰藉はもちろん実費弁償もできないのではないかと思うケースもあるのです。
カジュアルな関係とインクルーシブな関係を曖昧にしたまま、婚約や内縁を論じても無意味です。
この区別を明確にするのが、PROOFの合意です。
被害を受けた側が正当な救済を受けられない事態が生じます。
内縁・パートナーシップの法的空白
内縁関係については、フランスのPACS(連帯市民協約)、カリフォルニア州・オーストラリア等にもそれぞれ法的な保護規定が存在します。しかし日本では、内縁の定義や保護の範囲が判例に委ねられており、ロジックとしては法律婚の規定が類推適用される可能性があると教科書には記載されていますが、実際は類推されることはほとんどありません。
特に外国籍当事者が絡む国際的な内縁関係では、準拠法の問題もあって、費用分担すら受けられないケースがあります。
異性間のパートナーシップに関しては、最高裁平成16年11月18日判決が「法的な権利利益は一切認められない」としています。この判例が現在の社会状況に照らして妥当であるかどうかは、合意の内容・形式によって実質的に見直しうる余地があると考えます。
3. このサービスが目指すこと
私たちが目指すのは、「婚約破棄・内縁破棄・パートナーシップ破棄による慰謝料請求という争いを、日本から減らしていくこと」です。
事前に合意を形成し、文書として残す。それだけで、多くのトラブルは防げます。
具体的には、次のような機能を果たします。
- 婚約・内縁・同居・パートナーシップがどのような関係であるかを明確にする(カジュアルな交際との区別)
- 貞操義務・同居義務・費用分担・婚約期間の目安など、関係に伴う権利義務を文書で確認する
- 関係破棄・解消時の取り決めを事前に定めることで、争いを予防する
- 弁護士が内容を確認・調整することで、法的に意味のある合意書として完成させる
婚前契約(夫婦財産契約)のような厳格な法的手続きを経なくとも、紳士的な合意の書面化は可能です。そして、その書面があることで、関係の重さと責任を双方が自覚し、軽率な破棄を防ぐ抑止力になります。
また、国際結婚・外国籍当事者との内縁関係においては、子の宗教・国籍・養育方針などの問題も生じます。これらについても、事前合意によってリスクを軽減できます。
4. 対象となる関係と合意内容
本サービスが対象とする関係と、主な合意内容の例は以下の通りです。
| 関係の種類 | 主な合意内容の例 |
|---|---|
| 婚約 | 婚約の事実確認・婚姻予定時期・貞操義務・婚約解消時の取り決め |
| 内縁・事実婚 | 同居・費用分担・財産管理・関係解消時の清算方法 |
| 同棲・同居 | 生活費分担・家事分担・転居条件・別居時の取り決め |
| 同性・パートナーシップ | 関係の定義・権利義務・財産・医療判断の委任・解消時の取り決め |
| 国際結婚・外国籍内縁 | 準拠法の確認・子の養育・宗教・国籍・生活拠点に関する合意 |
おわりに
私たちが寄せられる相談の多くは、すでにトラブルが起きた後のものです。「もっと早く話し合っていれば」「事前に決めておけばよかった」という声を、これまで何度も聞いてきました。
事前合意は、関係を縛るものではありません。むしろ、互いの意思と覚悟を確認し合い、その関係に誠実に向き合うための土台です。
婚約・内縁・同居・パートナーシップという選択をした二人が、法的なトラブルなく関係を築いていける社会を目指して、このサービスを提供しています。
家族法は、未来に向けたルール・メイキングであり、将来的には特に婚約破棄の慰謝料請求といった裁判はなくなり、契約書に従って処理される社会が理想ではないか、と考えています。それゆえ、私は、婚約破棄の慰謝料請求は将来的には、PROOFのサービスの発展とともに廃止されればいいと思っています。
特に、結婚相談所を成婚退会した方、婚活アプリでマッチングされた方、婚約をして真剣交際をしたいが、結納式や両親との懇談は「重い」と感じている方は、「PROOF」をご利用ください。
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