ヒラソルの服部勇人弁護士が、朝日新聞社の2024年8月9日 7時30分配信記事において、
「『ヒラメ裁判官生む要因』指摘も 年収差生む、国家公務員の地域手当」と題する記事に法律の専門家としてコメントして掲載されました。
朝日新聞のリード「人事院が8日に出した勧告では、支給割合は地域によって5段階となり、これまでの7段階からより簡略化することが示された。ただ、最も高い東京23区内(20%)の割合はそのままのため、手当が付かないゼロ地域との差は変わらない。
手当をめぐっては7月、津地裁の現役裁判官が国を相手に提訴した。転勤で手当が減り報酬が減額されたといい、『在任中は報酬が減額されないと定めた憲法に違反する』などと主張している」。
https://digital.asahi.com/articles/ASS881VHJS88ULFA014M.html?iref=pc_ss_date_article
該当する部分は有料記事であるため、ご関心がある方は新聞紙上や朝日新聞デジタルからご覧ください。
2024年度の8月8日の人事院勧告を受けて、国家公務員の初任給を大幅に上げるなどの若手の待遇改善を重視されています。ヒラソルの弁護士のコメントは、裁判官などの司法職員の地域手当の差などについて指摘するものです。
詳しくは朝日新聞の紙上をご覧ください。
(服部勇人弁護士のヒラソルのホームページ向けコメント)
例えば、愛知県内でいえば、岡崎支部や豊橋支部は等級が低いという不平等があったので、8日の人事院勧告の見込みのとおり都道府県単位で考えれば、国家公務員の場合、同じ県内の具体的な自治体で給与の差異をなくすという方向性で、全体としてバランスをとるうえで、働かれている判事や判事補の間での公平が保たれ有益な内容であると思います。
ただ、問題は、そうした地域手当にあるというよりかは、判事補の働き方改革にあるように思われ、弁護士の東京一極集中に進む中、地方に配転される若手裁判官の人気の低下と、地域の実情を理解している裁判官が地方には必要であるという両方のバランスも考えていく必要があり、長期的視点では、年棒制に改めるといった工夫は必要ではないかと思われます。
いずれにしても、司法は3000億円しか予算がなく、財務省の20兆円などとは異なります。
人件費に上限がある中で、その配分の仕方を変えるというやり方では、なかなか若手裁判官の人気を取り戻すことが大変ではないかと長期的には理解されます。2024年3月にも20代から30代の裁判官を中心に、12人が依願退官しており、名古屋地裁判事補も辞めているのが実情です。
また、若手裁判官も東京一極集中の傾向を志向している方が多いことは否定し難いところであり、東京地裁でも名古屋地裁でも津地裁でも給与を変えないような形にならないと、地方で優秀な裁判官を確保することが難しくなる可能性はあるでしょう。
通常は、東京からはなれる場合に、単身赴任手当やへき地手当などかえって賃金を増やす民間会社も散見されるでしょうから、地方にいき、給与が下がるという点は、人事院も最賃法を参考に決められるのであれば、今後は、問題が都道府県に乗り換えられるだけであり、例えば最賃法の下位の都道府県などについて、赴任できる裁判官が出てくるかという問題に乗り換えられるだけでは、長い目で見て問題の解決になっていない可能性もある点は留意が必要であるように思われます。
いずれにしても、地域の実情を理解した裁判官が来てくれないと、困るのは裁判官ではなく、司法サービスを利用する市民の側であることに留意が必要と思われます。
https://digital.asahi.com/articles/ASS881VHJS88ULFA014M.html?iref=pc_ss_date_article