共働きで十分な資産がある配偶者からの財産分与請求
共働きの結城青人さんと妻の礼子さんは、ともに高額所得者です。礼子さんは青人さんの退職直前に離婚を要求し財産分与を要求してきましたが、礼子さんもそれなりの財産で通算するとイーブンになりそうですがどうなるのでしょうか。
まず、特に大企業の正社員、公務員、医師、弁護士等は預金や不動産以外にも財産があることが多く、有価証券、収益物件、不動産等の財産をもっていることが多いといえます。
妻が働いている場合、一番多いのは、生活費は、こどもが生まれるまでは「個別型」「費用別負担型」といってお財布を別々にするものです。しかし、こどもがうまれたり、青人さんの仕事がいそがしくなり家計を礼子さんに任せるようになると、「全額一方負担型」、「共通財布型」が増える印象です。
熟年離婚の場合は、全額一方負担型、つまり夫の収入で生活費を回し、妻の所得は貯蓄に回すというケースが多くみられます。
しかし、妻の財産も財産分与の対象になります。
したがって、財産分与の算定にあたり、別居時における妻名義の財産を確定することも必要ですが、「全額一方負担型」だとすべてをとられ妻の預貯金を全くしらないという人もいます。
したがって、婚姻時から、ある程度預貯金については、互いのものを把握し、「共通財布型」を目指すのが妥当なのかもしれません。しかし、弁護士夫婦などは個別型も多く、どちらが外食の費用を負担するかでケンカしていた夫婦弁護士もいました。
よって、配偶者の預貯金、有価証券、生命保険、不動産等の財産について、可能な限りどこの銀行や保険会社にあるかを特定すること、そのための情報を郵便物などから得ておくのがポイントです。
なお、若い女性弁護士が、「個別型」であるので財産分与請求権は発生しないという主張を調停で繰り返し離婚訴訟になってしまいましたが、能力不足というのは本当におそろしいものです。
ですから、丸投げにすることはよくなく、お小遣い制でもお金、つまり家計の動きをきちんと把握しておくことが大事です。別に配偶者の口座をスパイしろといっているわけではありませんが、家計の動きが見えなくなってきている夫婦では、経済的にクリアではなく夫婦も円満とはいえないと思われます。少なくとも、妻の給与振込口座の通帳ないし取引明細を入手して、妻のお金の使い方、貯蓄に回っている金額を調査することが大切である。