モラルハラスメントと自己愛性パーソナリティ傾向
離婚原因としてモラルハラスメントは認められるのでしょうか。
モラルハラスメントとDVの違いは、言葉や態度による精神的圧迫、経済的束縛などをいうことになります。証明も困難なのですが、そもそも離婚事由に該当するのでしょうか。
支配・服従の構造をとる点では、DVの一種であり、身体的暴力より巧妙で、被害者にも深い心の傷を残すものです。離婚後にも、面会交流や養育費を通じて攻撃が継続されることもあります。
CCVと呼ばれ、身体的暴力より巧妙で被害者にも深い心の傷を残すものです。離婚後にも面会交流や養育費を通じて攻撃が継続されることもあります。
身体的暴力と織り交ぜられることもありますが、被害者にも深い心の傷を残すものといえます。
モラルハラスメントの背後、自己愛性パーソナリティ傾向が潜んでいるといわれています。
加害者は、往々として、能力や社会的地位が高く、幼少期から集団の中で序列の上を占めて成功体験が豊富です。優秀な人間であるという評価を得ていて自分でもそのように考えています。しかし、その尺度は内面の豊かさではなく、成績、学歴、職種など、形式的・外形的なものが多いといわれています。そして、実は、内面の自尊心は弱く、心の通った人間関係を築けておらず、ペルソナの自分に依存しているところがあります。他人に対する評価も外形的な要素を基準とするため、序列や権力には敏感であり、世間一般に認められている法律の枠組みには比較的忠実であるといえます。
加害者の世界観では、自分の世界が間違っているということはありません。そして、同じ物事について、あるときは白、あるいは黒といっても平然としています。事実に気のままに修飾を加え、ときには嘘をつくこともあります。
結婚やこどもの誕生、成長といったことも、加害者の中では、自分の成功体験、自分の経歴の一つとみなされているようです。
配偶者やこどもは対等な存在ではなく自分のいわば「持ち物」です。家の中では家族を「教育」し、外には自慢して自分の自尊心を満足させようとしているという心理的機序にあると考えられています。
モラルハラスメントの被害者の傾向としては、モラハラ傾向の人は、しばしば丁寧で気配り上手で自分に忠誠心を貫くことが予想されるような相手をパートナーとして選びます。
日々のスケジュールや家計のやりくりも相手の身勝手な指示に従っているうちに、かなり過酷な状況になっており、身体的ダメージを受けていることもあります。別居・離婚により、相手方の束縛から解放され、支配・服従関係から少しずつ抜け出せたとしても、どうしても、「自分にも非がある」「相手にもお世話になった」という思いから、最大限譲歩してしまうような展開になることも多いようです。モラルハラスメントがある家庭で育ってこどもたちの中にも、大人になってから自分の家庭でモラルハラスメントが起きていたということに気づき、時間差で傷つき、うつ状態やストレス反応などを経験する場合もあるようです。