子の引き渡しの判断基準
子の引き渡しの判断基準については,一般的には母性優先といわれており、親権者である母ということであれば子を引き渡せという判断になることが多いと思われます。もっとも、その場合でも親権者であれば監護者として適当というわけではありません。監護者としてより適格であるかの判断が前提となります。
最近の実務は、主たる監護者による監護の継続が子の成長に重要である、という考え方を基本に展開しています。子が幼少の場合については、引き渡しによる環境変化を伴っても、主たる監護者との愛着関係や精神的な絆を継続することが重視されるような傾向にあるようです。
なお、面会交流の拒否については、近時、面会交流を拒否した場合については、子の社会性が拡大を妨げ、男性性を取得するなど健全な発育の不安定要素とみて、父への子の引き渡しを認めた裁判例が出ています(東京家裁八王子支部決定平成21年1月22日)。