海外赴任中から離婚依頼を受け4年に渡る長期離婚調停・訴訟の事案
海外赴任中に離婚問題が発生、複数年にわたる離婚訴訟を経て財産分与・養育費・学費加算を含む解決を実現
相談者情報
依頼者は、海外赴任中であるものの、赴任前から離婚の切り出しを受けているため、赴任中も含めて離婚手続きを進めたいと依頼されました。
婚姻費用の策定に関しては、海外赴任中は海外事業会社から給与を得ることが多く円安もあることから円に換算し直すと高額な価格となるものの、日本帰任時はそのような給与体系ではないこと、海外のため警備上の問題から家政婦を雇うなどの事実関係で職業上の支出が多かったなどの事情がありました。他方、二人いるこどものうち、ひとりが依頼者方に途中で異動し、大学進学し、裁判手続き中に、もう一人も大学進学するなど、婚姻費用・養育費を通じて学費加算が問題となりました。
また、財産分与では住宅ローンの自宅が争点となりました。妻側は時間的引き延ばしと自宅の取得を提案していました。しかし、簡易査定の金額が500万円以上異なるなど、結果的に依頼者の意向もあり、それなりの鑑定費用をかけて、離婚訴訟において家庭裁判所の鑑定嘱託を受けて鑑定書に基づき自宅の金額が認定されることになりました。
調停段階では、結果的に引き延ばしを目的とされた調停運営をされ、依頼人と弁護士と協議を経て離婚訴訟に適時に切り替えました。この判断がないと、もっと終局が遅れていたかと思います。
離婚調停では、財産分与基準日が変転したことから、福岡高裁の判例(平成8年7月19日)を引用して基準日を早期に明確にさせました。
離婚調停の引き延ばしをする相手方弁護士
大量広告事務所の弁護士は、離婚調停の引き延ばしをしていました。調査嘱託について、およそ我が国の司法裁判権では回答が期待できない東側諸国の銀行について調査嘱託を出しましたが、結果、それは財産を探すというよりかは、単に引き延ばしを目的としていると推認されてもやむを得ないものでした。
他方、結果的にこちらも対抗して、調査嘱託に反対する意見書を出しました。依頼者の職場に嘱託するなど嫌がらせ的な嘱託と感じざるを得ないものもありました。
住宅ローンの不動産についても特有財産の主張が出されました。当方は特有財産は不存在であり、いわゆる日付を遡って記載された疑いがあると主張しましたが実質的に排斥できました。
被告が当初提案した和解金額から300万円ほど上乗せをすることができました。
実質和解といえる調停に代わる審判で終局!
本件は、財産分与・養育費・婚姻費用・学費負担など多岐にわたる争点が絡み合い、調停から訴訟へと移行。最終的に審判が成立するまで複数年を要した、複雑かつ長期にわたる事案でした。もっとも、和解的解決のため、養育費については、依頼者側がひとりの大学学費、相手方がもう一人の学費を負担するという実質を考慮する形となりました。
本件では、依頼者が海外転勤や単身赴任があり、海外赴任中は毎日のように離婚を求める電話がかかるというものでしたが、他方、調停が提起されると、住宅ローンについて清算する必要があることが分かると、調停を引き延ばしにかかったというものでした。
調停段階では相手方のもとで生活していたこどもが、調停係属中に依頼者のもとへ移り住みました。さらに訴訟係属中にはもうひとりのこどもが大学へ進学し、学費負担の問題が新たな争点として浮上するなど、訴訟の長期化に伴い子どもをめぐる事実関係が流動的に変化し続けました。
主な争点と対応
① 不動産の評価と財産分与
婚姻中に取得した自宅マンションの評価額について、当事者間で大きな隔たりがありました。当職らは当初から、東京の調停委員も務める権威ある不動産鑑定士に鑑定を依頼し、客観的な評価額の確定を図ろうと提案していましたが、相手方が拒否し、結局離婚訴訟で家裁が選任する不動産鑑定士に依頼することになりました。
最終的に、不動産を相手方に譲渡する一方、相手方が依頼者に対して解決金を支払う形でしたが、特有財産の主張を崩すなどしたため、数百万円増額し決着しました。
② 海外赴任時の収入をめぐる養育費算定
相手方は海外赴任時の高収入を基準に養育費を算定するよう主張しましたが、当職らは帰国後の実態収入(給与・賞与の実績)を詳細に分析した準備書面を提出し、帰国後の収入を基準とすべきことを主張しました。
③ こどもの転居と学費負担の再構成
調停中にこどもが依頼者側へ転居したことで、こどもの養育費の帰属関係が根本から変化しました。その後、もうひとりについても大学の学費加算が訴訟進行中に問題となりました。
18歳以上の子の学費は養育費ではなく別途の扶養料請求によるべきとの考え方もあり、人事訴訟の枠組みでは論点から除外される可能性もあるものの、父母間の話合いを積み重ねて、学費についても双方考慮するという形で立論をしました。
④ 基準日後の預貯金引き出し問題
相手方による基準日後の預貯金の無断引き出しが問題となりました。財産分与額の算定において一定程度考慮されるよう主張し、最終的な解決金額の交渉に反映させました。
⑤ 解決の結果
家事事件手続法284条に基づく調停に代わる審判により、以下の内容で解決が成立しました。ただし、最終的に、裁判官が忘れていた条項があったため、弁護士間で訴外の合意書を作り終局することができました。
単身赴任中でも離婚調停を進めるべき場合もあります!
本件は、4年近い、ロングランの調停になりましたが、相手方が、住居の取得を希望するのか、資力の関係もあり、旗幟を鮮明にしづらい状況があるものと思われました。
長期単身赴任による婚姻破綻、海外赴任中の経営職への影響、訴訟中に子どもの状況の変化、大学生の子の学費負担という法的に不確定な論点、そして不動産評価をめぐって取得を希望する相手方が余りに不当な簡易査定を出してくるなど、複数の難題が重なった事案でした。
特に印象的だったのは、依頼者が赴任中に職場にまで影響が及ぶほどの状況に置かれながらも、冷静に証拠を積み上げ、長い手続きに耐えてくださった点です。弁護士としても、流動的に変化する事実関係に対応しながら、その都度最善の法的構成を検討し直すことが求められた事案でした。
海外赴任中に離婚問題が発生した方、子どもの学費・養育費をめぐる複雑な問題でお悩みの場合でも、財産分与、特に不動産が絡む場合はロングランになることがあるため、海外赴任中からご相談いただいて良かったのではないかと思います。
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