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オーバーローン不動産の残債務の引受と課税関係!

私は女性で、離婚に伴う財産分与として、夫名義のマンションの分与を希望しました。このマンションは10年前に7000万円で購入しましたが、現在は半分の3000万円に値下がりしています。また、住宅ローンは4000万円あります。私は、会社員ですので、残債務を引き受けてこのマンションの分与を受けたいと考えています。この場合の法律関係、課税関係はどうなりますか。

 

Step1.オーバーローン不動産の残債務の引受と課税関係!

 マンションを「あげる」側の夫は、3000万円で不動産を売却したことになりますので、譲渡損が4000万円発生します。売却して4000万円資産がマイナスになったということですね。そして、譲渡損のうちオーバーローンの1000万円は、他の所得と損益通算できます。このような形で、「あげる方」の夫はビジネスマンであれば確定申告をすると税金が還付されることが多いと思います。

 

Step2.譲渡損が発生した時の分与側の課税関係!

 財産分与により譲渡益が発生した場合、分与者、つまり「あげる側」に譲渡所得税が課せられることになります。最近は、オーバーローン物件も多くみられます。値下がりした場合、譲渡所得、まあ売却によるもうけは赤字となります。これを譲渡損といいます。

 ポイントは、土地、建物の譲渡損失について、それまで認められていたほかの所得との損益通算及び繰越控除が認められなくなってしまいました。わかりやすくいえば、税法で、不動産は独立国のようなものだ、ということです。つまり、譲渡損を生じてしまっても他の損失と通算できないということで、他の所得から差し引くことはできません。しかし、オーバーローン物件であることが明らかな場合に限り、一定の要件を満たせば、損益通算及び繰越控除が認められるようになりました(措置法41条の5の2)。

 これは、あくまでも「あげる」側の話しです。離婚調停をしていると、もらう側の大変さが際立ってしまうので、「あげる」側の損益通算及び繰越控除が原則できない、例外できる、という点を忘れがちですので注意しましょう。

 

Step3.特別措置法・居住用不動産の特例(要問合せ)!

 居住用財産の譲渡損についての損益通算及び繰越特例、いわばオーバーローン特例とはどういうものでしょうか。実はこれは措置法です。従って、離婚時に、この特例が存続しているのか、税務署に問い合わせましょう。

 主には

  ・期限があり

  ・所有期間が5年を超え

  ・10年以上のローン

 

Step4.債務引受けの法律関係!

  財産分与をしようとする不動産にローンが残っている場合、分与を受ける者がローンの残債務を引き受けることが条件に財産分与として不動産が移転されることがあります。

 あなたの場合、4000万円のローンの残債務をあなたが、引き受けることにより、夫は4000万円の債務が消滅し、同額の経済的利益を得たことになります。一方、あなたは、分与不動産の時価以上の債務を負担することになります。しかし、財産分与は、本来、資産の額から債務の額を差し引いた残額が対象となるとされています。本来マイナス3000万円ということですね。

 オーバーローンの不動産の分与を希望する以上、それと同額の債務を引き受けることには、一定の合理性が認められますが、不動産の時価を上回る部分の債務まであなたが引き受ける理由は合理的とはいえません。ですから、この場合、弁護士と話し合い、作戦を考えて他に通算できるものがないかなど、自宅の取得にこだわりすぎて、調停内容が不利なものにならないようにするようにしてください。

Step5.債務の引き受けについて、金融機関等債権者の承諾が必要!

 債務の引き受けについては、金融機関等債権者の承諾が必要です。分与された不動産に担保価値があっても、あなたの収入次第では、金融機関は債務の引受けを承諾しないことがあります。担保価値が不足している場合は、契約上の債務者は夫のままで、あなたと夫の間で、内部的に負担者を決めて、離婚後はあなたが返済するという方法も考えられます。

 また、あなたが債務は引き受けずに、不動産の財産分与を受けた場合でも、不動産の抵当権がついている場合には、その抵当権は分与後もそのまま残り、あなたは物上保証人になる可能性があります。もし、夫が住宅ローンの支払を怠った場合には、不動産が競売にかけられてしまう可能性もあります。

 なお、債務を引き受けずに抵当権付きの不動産の分与を受ける場合でも、ローンの支払者が住民票を置いていなければならないのが原則ですので、金融機関の承諾が必要になります。

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