お金に関するお悩み

住宅ローンを返済中の場合

住宅ローンを返済中の場合

 

結婚後、妻の実家からの援助金300万円をあたまきんとして、4500万円でこうにゅうした土地たてものが、現在は3150万円の時価額です。夫名義の住宅ローンの残高が基準時で550万円がります。別居後は夫が家に住み、私は実家に住んでいます。ローンは夫が支払っています。夫が家を取得する場合、妻に対する代償金はいくらになりますか。

 

1 はじめに

 現在の時価額から別居時の住宅ローンの残高を控除して不動産の実質価値を算出し、これに双方の寄与度をかけて算定することになります。住宅ローンを共有財産から控除する方法もありますがこのような主張をされた場合は不合理ですので弁護士に相談してください。

 

2 不動産の時価額から住宅ローンを控除し、双方の寄与度をかけて算出する方法

 住宅ローンについては、債務者はおおむね夫になっており、債務者である夫が不動産を取得し、妻に代償金を払うという清算方法がとられる場合がほとんどです。このような場合、不動産の時価額から別居時の住宅ローンの残債務を控除し、不動産の実質価額を算出し、これを財産分与対象財産とする方法をとることが一般的です。

 

3 寄与度の算出(参考、仙台家裁平成29年4月18日)

 不動産の購入に際して双方が特有財産を拠出しました。取得金額に占める特有財産の比率を寄与度に落とし込みます。本件では夫が47パーセント、妻が53パーセントといえます。しかしながら、いくら特有財産を支出していても不動産自体の価値がゼロないしマイナスの場合は、このような計算をするかは疑問があるところです。

(計算式)

(4500万円-300万円)×1/2=2100万円

 妻の寄与度 300万円+2100万円/4500万円=53パーセント

 夫の寄与度 2100万円/4500万円=47パーセント

 

 不動産について双方の取り分額は、

  妻 2600万円×53パーセント=1378万円

  夫 2600万円×47パーセント=1222万円

となります。

 夫が不動産を取得するのは売却を前提としているケースなど少なくありません。そのような場合妻には、1378万円の代償金を財産分与として支払う必要があるという見解もありますが、現在返済中でオーバーローンの場合はたいてい無価値物とみることも多く、見解は分かれているといえるでしょう。

 

4 現在の時価額から特有財産部分を控除して共有財産部分を算出し、住宅ローンは共有財産部分から控除して算定する方法

  住宅ローンは夫婦共有の負債なので、不動産の時価額から各自の特有財産部分を控除した後に、共有財産部分から住宅ローンを控除するのが相当である。

  よくあるのが、教師同士の離婚で、離婚の際、購入時より値上がりした共有不動産を売却し、住宅ローンは売却代金で完済し、売却益を分配する場合などにもちいられています。一般的には4の見解によることが多いと思います。

  妻の特有財産

   不動産の時価額×特有財産/取得金額=妻の特有財産

   3150万円×300万円/4500万円=210万円

  分与対象財産額(共有財産額)

   不動産の時価額-特有財産額=財産分与対象額

   3150万円-210万円=2940万円

  住宅ローン控除額の金額

   2940万円-550万円=2390万円

  取り分

   妻 2390万円×2分の1+210万円=1405万円

   夫 2390万円×2分の1=1195万円

 

5 共働き離婚モデルVS片働き離婚モデル―抵当権(住宅ローン)付不動産の清算方法

  家裁実務上、抵当権付不動産について、債権者の承諾なく、住宅ローンを引き受けさせる判決や審判を出すことはできません。これは、抵当権付不動産について、名義人ではない者について取得させることは困難であることの証左であり、まずは弁護士を選任される方がほとんどです。

  社会科学的にも共働きが増えています。しかし、扶養制度の関係から妻はパート労働というケースもあります。私の家系は女性はみなフルタイムの公務員をしているので、そういう女性が働かないなんてあり得ない家系もあるのですが、社会では妻が住宅ローンを引き受けることは難しいといえます。つまり妻が住宅ローンを完済したり、借り換えをしたりして夫の負債をゼロにするということです。

  住宅ローン付不動産は夫が取得し、ローンの支払も夫が行い、夫が妻に代償金を支払う方法がかつでは一般的でした。しかし男女平等が進み男性が一方的にセカンドライフも意識されるようになると巨額の負債を押し付けられる必要性はないと裁判所が判断するようになりました。これは、社会学的な問題といえるのですが、難しい問題です。

 

6 まとめ

  財産分与は非訟です。ですからローン付不動産の清算方法は裁判官の裁量にゆだねられているのです。①共働きで双方同程度の収入がある夫婦と②片働きの夫婦の離婚について裁判官の裁量権行使の準則化は特にみられません。原則は2分の1に従って、後悔のない離婚をするために、立法政策論をとなえて実験台にする弁護士に依頼するのは止めましょう(特に共産党系、憲法を守ろうというようなパンフレットを置いてあるような事務所です。弁護士は、政治活動はほとんどしません。)。このように法的な見解すら分かれるところですので、離婚弁護士に一度ご相談されることをおすすめします。

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