お金に関するお悩み

財産分与退職金で問題となる確定給付、確定拠出って何?

退職金制度には「確定給付タイプ」と「確定拠出タイプ」とのことですが、その内容はどのようなものですか。

 

「確定給付タイプ」は、退職金支払い規定に退職金の支給基準が明記されており、退職時の退職金額があらかじめ確定しているものです。これに対して「確定拠出タイプ」は退職金規定には退職時における退職金額は何ら明記されておらず、企業の拠出金額(掛金)が確定しているだけであり、退職金額は確定拠出金の運用いかんによることになります。

 

1 フランスにおける退職金制度

シュシュ:フランスでは退職手当は法定の解雇手当相当額となる。具体的には、勤続年数1年につき、月給額の5分の1、10年を超える勤続年数1年につき月給額の15分の2を加算となっているよ。

弁護士:フランスでは労働協約によって退職金を別途規定している場合もありますが、基本は「確定給付タイプ」が多く就業規則のように任意に決めるのではなく、法律で決まっているという点が日本と異なりますね。

2 日本の退職金制度

 日本の退職金制度は、使用者が労働者に対し退職するに際して金員支払いを約し、これを履行することにより完了する「契約」です。しかし使用者は労働者の退職金支払い原資を積み立て、これを元手に労働者に支給することになります。多くの大企業では、「退職金支払規定」「退職金積立金規定」を就業規則に規定しており、これを一体として退職金制度と呼んでいます。日本では、中小企業では、就業規則に退職金の規定がないケースもあり、規定がない場合は経営者の恩恵的措置として支給するかどうかが任せられています。

3 「確定給付タイプ」と「確定拠出タイプ」

 退職金制度は、使用者が負う退職金支払債務の履行条件、方法により、確定給付タイプと確定拠出タイプに分けられているのです。

 確定給付タイプは、オーソドックスなもので、退職金支払い規定には退職金の支払い条件、支給基準(年齢、退職事由)にもとづき、退職時における退職金における退職金額があらかじめ確定されています。

 これは退職金積立規定の運用とは関係なく退職金額が確定されるので、この意味で退職金支払い規定と積み立て規定との関係は切断されているといえます。シュシュが紹介してくれたフランスの法定基準と似ています。そしてそれを積み立てておくかは経営者の責任ということになります。

 他方、確定拠出タイプは、退職金支払い規定における退職時における退職金額は何ら規定されておらず、退職金積立規定に基づいて支払う拠出金額があらかじめ確定されています。そして、拠出金の運用いかんで退職金額が決定されることになり、この意味では退職金積立規定が実質的に退職金の支給基準とリンクしているといえます。

 このように、確定給付タイプは、退職時における支給額があらかじめ確定しており、使用者は退職時においてそれを履行する義務を負うことになります。これに対して確定拠出タイプは、在職中の労働者に対する拠出金額をあらかじめ確定しており、使用者はそれを履行する義務を負うことになります。

 退職金制度が確定拠出か、確定給付かは、退職金の支払い債務の性格を決定するものであり、給付を固定するのか、拠出を固定するのかというものであり、退職金制度の方向性を決定づけ財産分与にも影響を及ぼすもので注意が必要である。

4 退職金支給規定と退職金積立規定

シュシュ:なんか労働法の授業みたいになってきちゃったね。

弁護士:退職金は賃金の後払い的性格があり、財産分与の主要な争点となるので仕方ないですね。

シュシュ:退職金支給規定というのは、企業と労働者との間における労働契約の内容である労働条件になるもので、労働基準法上、労働契約の締結に際して退職金の支給の有無等について明示することが使用者に義務付けられています。もちろん退職金制度は強制ではなく、退職金制度がない中小企業はたくさんあるということでしたね。

弁護士:確定給付タイプは退職一時金または年金支払いにより、退職金支給債務の履行がなされ、「確定拠出」タイプの場合は、毎月の拠出額の支払によって退職金支給債務の履行がなされることになります。

シュシュ:拠出金は運用もされるので、支払われる退職金額が確定していないので、よくわからないね。

弁護士:次に、退職金の支払いを確実にするために一時的に負担が集中することを避け、普段から平準的に退職金の原資を積み立てられ、税制上の優遇措置も受けられるような制度や手段が必要となります。これが退職金積立制度の役割ですね。

シュシュ:叔父さんも賞与の時期になるとキャッシュアウトが普段の数倍になるから大変だ、といっていたことがあったね。

弁護士:賞与も積み立てておかないといけないけどね。例えば従業員30名の場合、毎月2000万円のキャッシュアウトでも賞与支給月は6000万円くらいのキャッシュアウトがあるんだ。だから、債務不履行にならないように、前の事務所では注意していたね。

シュシュ:日本の退職金積立規定の主なものとしては、厚生年金基金、国民年金基金、確定拠出年金(企業型)、企業内退職金制度(保険商品など)があるよね。

弁護士:中小企業では、厚生年金基金だけというケースも昔は多かったですね。リーマンショックのときに基金を解散して現金を支払う代わりに退職金も廃止するという動きが広がった時期もあります。

シュシュ:これらの制度は、退職金支給規定によって生じる企業の退職給付債務を生産するための準備手段といえるね。どの退職金積立制度を採用するのかは、退職金支給規定に定められた内容により決まってくることになります。

弁護士:以前、労働事件をやっていたときに積み立てがされていないからこれだけしか、支払わないというケースがあったのですが、退職金積立規定の運用とは関係なく退職金額が確定されるので、この意味で退職金支払い規定と積み立て規定との関係は切断されていることを失念した議論なんだろうと思いました。

に関するお悩み