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将来支払われる退職金について財産分与の対象か改めて教えてください。

 

 1 総論

 退職金が財産分与の対象になるということは争いがないと思います。また、将来支給されるべき退職金については、不確定要素もあるので、退職金を受給しうる蓋然性に問題があるという見解もありました。

 2 退職金の性格

シュシュ:企業の退職金規定に基づいて支給される退職金はどういう性格なのだろう。

弁護士:労働法の知識にもかかるけど、就業規則に規定がない場合は恩恵的なもの、ある場合は給与という扱いになるんだ。

シュシュ:でも功労褒賞的意味合いもあるし利益分配型も増えているよね。

弁護士:そうなんだけど、日本の会社では、将来の退職金の支給のために日日の給与を低く設定しているんだ。例えば、あるコンサル会社の中小企業診断士さんは退職金がない代わりに月額の給与は50万円ほど30代でももらっていましたね。

 このように退職金には賃金の後払い的性格があるので、夫婦の一方が取得する退職金の形成に他方配偶者も貢献しているといえるので、原則として財産分与の対象財産となることになっています。婚姻期間に比例して分与を受けられるので、婚姻期間が長い夫婦では、年金と同様、老後の生活保障という意味合いも強いんだ。

シュシュ:実務上、途中退職をしたり、すでに退職した人の離婚もあるよね。こういうように既払いの退職金は基準日前に支払われているから財産分与の対象にならないのかな。

弁護士:既払いの退職金は、基準時(別居時)に現存する限り、清算の対象になるのが特徴です。ただし、現存することの証明が難しいといえます。しかし、退職金で不動産を購入している場合には、退職金が形を変えて財産として残っているといえるので、不動産の財産分与の対象財産になるんだよ。

シュシュ:そうでもないかもしれないけど、退職金については既払いでも、また形を変えていても浪費されていない限り対象になるという特別な資産のように思うね。

3 退職年金

シュシュ:ところで、最近は退職金を一時金で受け取る人と年金式で受け取る人がいるよね。

弁護士:一般的には、税金のことを考えて一時金でもらう人が多いけど堅実な人などは年金方式を選ぶことがありますね。

シュシュ:退職金の年金方式といっても、分けて、つまり分割で支払うだけだから財産分与の対象にはなるよね。

弁護士:うん。確定給付企業年金については、一時金を選択した場合の支給額を参考に、同居期間に対応する部分が対象財産となり、確定拠出年金については、基準時までの拠出額を算出することになります。

シュシュ:そうなんだ。確定給付はもらえる額が決まっているから一時金を参考にするのは合理的だね。ただ、確定拠出はどうなのかな。拠出金は運用されてマイナスになることもあるからね・・・。

4 将来の退職金

シュシュ:将来の退職金については、50歳前後がベースになるという話しがあったよね。

弁護士:うん、これまでの議論をおさらいすると、将来支給すべき退職金について、勤務先の経営不振や倒産、本人の事故や解雇などの不確定要素によって支給の有無や金額に影響があるので、退職金を受給できる蓋然性に問題があるとされていたんだ。そこで、支給年齢に近い人を中心に財産分与の対象にしており、50歳がメルクマールになるといわれていたね。

シュシュ:ただ、現在の実務は変わりつつあるよね。これも退職金は賃金の後払いとしての性格を重視しているからだよね。

弁護士:現在は退職金ポイント制をとっている会社も多いんだ。だから勤務を重ねるごとに後払い賃金が累積していき、基準時には一定の金額が累積しているからそれが分与の対象になるという見解もあるね。

繰り返すけど大手企業は退職金ポイント制になっていて給与明細にポイントが記載されている例も多い。そこで現時点で退職した場合に支給された退職金の金額が明確になっている場合は、財産分与の対象になる可能性があります。

5 評価・参入方法

シュシュ:まだ退職していないのに、どうやって将来の退職金を計算するの

弁護士:一般的には、現時点で自己都合退職した場合に支給される退職金の額をベースとして、婚姻期間を按分するんだ。結婚していない期間は財産分与の対象ではないからね。若い人の場合はこういう感じになります。

 退職日が迫っている人は、退職日の支給額を計算し、中間利息を控除して価格を引き直すという方法をとります。例えば、54歳であれば退職金は精算対象になるけど、退職日の退職金を計算し、そこから、6年分のライプニッツ係数をかけて現在額に引き直して、あとは2分の1ルールという方法があります。このように、50歳代の人には、この計算方式が合理的といえるでしょう(東京地裁平成11年9月3日判決)。

 また、一時金の支払いができない場合、離婚時の清算ではなく、退職金の支給を条件として支給時に精算する方法を用いる裁判例もあります(東京高裁平成10年3月13日決定)。

 もっとも、財産分与は学説では即時給付が原則とされています。大企業につとめている人の場合、他に金融資産がないのかなどがポイントでしょう。

 

 

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