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 名古屋の離婚専門弁護士のコラムです。

 離婚専門弁護士の経験からすれば、親権以外で裁判になるのは財産分与が理由になっていることが圧倒的に多いといえます。

 本来、財産分与というのは、結婚期間中に作った夫婦一緒の財産を半分に分け合うことをいいます。半分に分けるだけなのですが2分の1ルールともいわれています。

 もっとも、学術的には、清算的財産分与、扶養的財産分与、慰謝料的財産分与の3つがあるといわれていますが、裁判所で財産分与というと清算的財産分与のことです。

 一番の勝負所といえるのは、清算的財産分与です。夫婦で築き上げた共有財産をそれぞれの財産を作った貢献割合によって分け合うことですが、通常は2分の1です。

 夫の言い分は、「自分が稼いだというもの」です。男子として分かります。しかし、洗濯、カッターの用意、食事の準備、子どもの送迎の手間を別にとることはできますか?

 このように、妻の家事に対する貢献度も寄与度としては相当分に達するといわれており、2分の1ルールの根拠にもなっています。もっとも、例外的に、どちらかの職業が特殊な場合は、ケースバイケースになります。当事務所では、サッカー選手、その他のプロスポーツ選手、議員などの離婚を取り扱ったことがありますが、若いうちに非常に高額な収入を得ている場合は2分の1のルールの修正を求めることもあります。

 財産分与って別居時の財産を半分に分けることじゃないの?ということはそのとおりなのです。しかしながら、有責配偶者に関する最高裁の法理が参考になるのです。有責配偶者から離婚請求を求める場合は、自分の不貞行為が原因なのですから「裁判上の離婚原因」が「存在しない」場合の一事例であることに気づきます。最高裁は、相当の別居期間、未成熟子がいないこと、母親が過酷にならないことを求めていますが、これは、その他の離婚原因がない場合の離婚にも参考になります。つまり専業主婦の人は、これまで家事労働をしており、それは社会的には2分の1ルールが適用されるほど価値があるとされていましたが、それは夫婦でいる場合のファンタジーといえます。ですから、専業主婦の人は、離婚後は通常は仕事をし始めることが多いといえます。このような場合、未成熟子がいないことという要件は主に情緒面は面会交流制度があることから専ら婚姻費用や養育費のことをいっていると考えられるのです。そして、母親が過酷にならないというのも、経済的に過酷にならないように、という趣旨と解されるのです。ですから、扶養的財産分与というのは、離婚事由が弱い場合に男性側がこれを補強する趣旨で行うものと考えて良いと思います。逆に言うと、男性の側もいままで自分のアシストをしてくれたのだから、新しく仕事をみつけるまでの間、離婚給付をしてあげることを考えるのです。例えば、あまりみられませんが、離婚成立後3年間
毎月5万円を支払うといった方法ですが、実務上は養育費の上乗せとして処理されることの方が多いように思われます。

 次に、慰謝料的財産分与ですが、慰謝料というのは財産分与で考慮することも可能ということになっています。しかし、みなさんもお気づきのように、「なんで夫婦で作った財産を半分にする手続きで慰謝料が入り込んでくるんだ??」という素朴な疑問に回答することは難しいでしょう。女性側としても慰謝料代わりというよりも慰謝料を支払って欲しいと考えますし、男性の方としても、それは慰謝料で問題にしてもらえればとなることがあるように思います。一般的には、財産分与で慰謝料的要素を加えるという場合は、租税回避を目的としたり、不動産を分与とするケースが多いように思います。また、慰謝料という名目に男性は抵抗を心理的に感じます。もっとも、そこは紛争解決金として給付するという考え方も出てきていますので、本当に有責配偶者で悪質性が高く裁判離婚が認められない場合に、それこそ10:1くらいの割合で分ける、というような場合に、慰謝料的財産分与というのが本来的姿かもしれません。

 もっとも、当事務所の弁護士のアドバイスからも、配偶者暴力事案など暴力や付きまといが原因で離婚をする場合は、あまり財産分与にこだわるのは相当とは思われません。とりあえず離婚を先行させ、別途財産分与の申立を行うこともできます。

 財産分与請求は、民法の規定に基づいていますが、財産分与の要素としては清算的要素、離婚後扶養的要素、慰謝料的要素があるものとされています。

 必要資料は、給与証明書、収入証明書、納税申告書、営業帳簿、現金出納帳、預金通帳、評価証明書などが挙げられます。

京都家庭裁判所平成22年8月31日審判は、協議離婚した夫婦間で,元夫(申立人)が元妻(相手方)に対し,婚姻期間中に元妻に贈与した各不動産は実質的な共有財産であるから,清算的財産分与として,不動産の評価額の2分の1の金員の支払を求めたところ,元妻は贈与は元夫の不貞行為の慰謝料の趣旨でなされたもので財産分与の対象にならないと主張して争った事案です。

 裁判所は,申立外人の持分相当分を除くその余の各不動産は,申立人と相手方の実質的共有財産であると認定した上で,各不動産の贈与財産を評価した財産分与対象財産評価額から慰謝料財産分与相当額を控除した残額の2分の1(認定した寄与割合)相当額を金銭で分与するのが相当として,その支払を相手方に命じました。

1 本件記録及び当裁判所平成21年(家ロ)第×××号審判前の保全処分(不動産仮差押)事件記録並びに同平成22年(家イ)第×××号親族間の紛争調整(親子関係調整)事件記録によれば次の事実が認められる。
  (1) 申立人と相手方は,昭和26年×月×日,婚姻し,昭和29年×月×日,長女Cを,昭和32年×月×日,二女Dをもうけたが,平成21年×月×日,協議離婚した。
  (2) 申立人は,平成21年×月×日,当裁判所に本件審判及び本件を本案として,審判前の保全処分(不動産仮差押)を申し立て,当裁判所は,同月×日,別紙物件目録1の不動産を仮に差し押えた。本件審判は,調停に付されたが,同調停は,平成22年×月×日,不成立となり,審判手続が続行された。また,本件審判申立てと同時に,申立人は,当裁判所にCを相手方とし,別紙物件目録4の不動産につき所有権移転登記の抹消登記手続を求める親族間の紛争調整調停を申し立てたが,同事件も平成22年×月×日不成立となった。
  (3) 申立人は,昭和15年ころから○○で働いていたが,昭和32年ころ,○○を退職し,申立人の兄が東京で経営していた△△株式会社の△△支店という形で,××の販売事業を始めた。約5年後に独立し,□□の屋号で同様の事業を営むようになった。
    昭和60年×月,事業を法人化し,株式会社□□を設立,申立人は,代表取締役に就任した。
    上記家業には,昭和51年×月に婚姻したC及びその夫Eも従事し,Cは経理を,Eは申立人と共に営業を行った。ただし,Eは,平成14年×月Cと離婚し,上記事業から離れた。
    平成12年×月,申立人は,株式会社□□の代表取締役をCに引き継いだ。
  (4) 相手方は,申立人との婚姻当時は,縫製工場で働いていたが,妊娠のため1年半後ころに退職し,C,Dを出産後,●●に就職,定年の60歳(昭和63年ころ)まで働いた。
  (5) 申立人とEは,昭和57年×月,別紙物件目録1の土地(以下「本件1土地」という。)及び同目録2の土地(以下「本件2土地」という。)をいずれも持分各2分の1として,買い受けた。次いで,同年×月上記各土地上に同目録3の建物(以下「本件建物」という。)を,申立人,相手方,Eの持分各3分の1の共有として,新築した。本件建物は,申立人及び相手方の自宅兼□□(法人化後は,株式会社□□)の事務所として使用された。
    さらに,申立人とEは,昭和60年×月,隣接する別紙物件目録4の土地(以下「本件4土地」という。)を申立人3分の2,E3分の1の持分割合で買い受けた。
  (6) Cは,株式会社□□で働くほか,個人の事業として,××の卸業を営む▲▲を経営し,Eと共に働いていた。
  (7) CとEは,平成11年ころから不仲となり,平成14年×月×日協議離婚した。
    離婚にあたり,別紙物件目録の不動産全てのEの持分を清算することとなり,Cが采配をふるい,平成13年×月×日,代金2250万円として,申立人名義で買い取られた。Cは,上記売買代金を,▲▲が平成8年から平成12年までの間に取引先である株式会社■■(以下「■■」という。)に貸し付けた総額3500万円のうち,平成13年×月×日に1750万円,同年×月×日に500万円の返済を受け,同年×月×日に1750万円,同年×月×日に500万円をそれぞれEに対し支払った。ただし,上記貸付金は,■■とCとの話し合いの上,帳簿上は,申立人の名義を借用し,同社の申立人に対する未払金としていたため,前記不動産のEの持分は,申立人に移転登記された。なお,このほか,CはEに対し,離婚に伴い,平成13年×月×日,300万円,平成14年×月×日,950万円をそれぞれ支払ったが,いずれも,Eは領収書の宛先を申立人名義とした。
    上記移転登記手続の結果,本件1土地及び本件2土地並びに本件4土地はいずれも申立人名義,本件建物は,申立人の持分3分の2,相手方の持分3分の1の共有名義となった。
  (8) 申立人は,昭和59年ころ××のため,約8か月間××病院に入院したが,そのころ同病院入院中の患者に付き添った甲と親しくなり,平成8年には,福井県に出張した際,甲と待ち合わせ,同じ旅館に宿泊し,同年には,甲と共に東京まで同道する等した。
  (9) 平成15年×月,Cは,申立人に対し,相手方との婚姻期間が20年を超えたことから,居住用不動産の配偶者ヘの贈与の税の免除の制度を利用して,相手方に本件1土地,本件2土地及び本件建物を贈与することを持ちかけ,申立人もこれに応じて,同月×日,上記不動産を相手方に贈与した(以下「本件贈与」という。)。その際,本件4土地についても,申立人は,Cに贈与し,その旨の所有権移転登記手続を終えた。
  (10) 平成21年×月×日ころ,申立人は,甲から携帯電話をもらったところ,同年×月ころそのことが相手方に発覚したことをきっかけとして,相手方は,離婚を申し出,同月×日,申立人と相手方は,協議離婚した。
    申立人は,その後,○○市内の甲宅に行き,甲と共に生活を始めた。
 2 判断
  (1) 上記各不動産は,婚姻期間中に取得されたものであること,ただし,従前のEの持分であったものは,CがEに対し,売買代金を支払ったこと等からすれば,かつてのEの持分相当部分を除くその余は,申立人と相手方の実質的共有財産と認めるのが相当である。
    相手方は,本件贈与は,申立人の不貞による慰謝料の趣旨でなされたものであるから,相手方の特有財産であると主張する。
    しかし,本件贈与の趣旨が,上記主張のとおりであったことを認めるに足る資料はない。かえって,本件贈与を主導したCの審問の結果によると,Cは,当事者らの婚姻期間が20年を超え,配偶者の贈与税免除の制度を利用できることから申立人に贈与を勧めたことが認められるが,本件贈与当時,当事者らや,Cから,不貞行為による慰謝料が話題にされた形跡はない。
    他方,申立人は,従前のEの持分相当部分も含め,全ての本件1土地,本件2土地及び本件建物が財産分与対象財産であると主張する。しかし,前記認定のとおり,Eの持分の売買代金は,Cが支払ったこと,Cの審問の結果によると,Cは,本件贈与にあたり,全て相手方名義としても,いずれ,相手方の相続が開始したときは,子であるCが相続することができると考えたことが認められること等から,上記主張は採用できない。
  (2) 土地については,平成21年度路線価により,建物については,同年度固定資産評価額によるのが相当であり,したがって,本件1土地は,1339万5000円,本件2土地は104万4000円,本件建物は452万7500円と評価する。
    そうすると,分与対象財産は,本件1土地,本件2土地が各2分の1,本件建物が3分の2であるから,評価額は,次のとおり,1023万7833円となる(円未満切り捨て)。
    (13,395,000+1,044,000)×1/2+4,527,500×2/3=10,237,833(円)
  (3) 相手方は,本件贈与は,慰謝料としての趣旨であったと主張し,当事者間の離婚原因は,申立人と甲との不貞にあると主張する。
    前記認定事実によると,申立人は,甲と交際を続け,平成8年には,出張先で待ち合わせて同じ旅館に宿泊したこと,したがって,そのころには不貞行為があったと推認されること,その後も甲の携帯電話をもらい受ける等交際を続けたこと等から,57年間に及ぶ婚姻関係が破綻し,離婚に至ったことが認められ,したがって,このことは慰謝料的財産分与として斟酌されるべきである。
    以上認定事実から,上記財産分与としては,300万円が相当である。
  (4) 婚姻期間中の夫婦間の財産形成に関する寄与割合は特段の事情がない限り各2分の1と認めるべきところ,本件では特段の事情が認められないから,申立人の寄与割合は2分の1と認めるのが相当である。そして,本件各不動産は,現在相手方が居住していること,申立人は,金銭による財産分与を求めていることを考慮すると,財産分与対象財産評価額から,慰謝料的財産分与相当額を控除した残額の2分1相当額を,金銭で分与するのが相当である。
    以上によれば,次の計算式のとおりとなり,相手方は,申立人に対し,次のとおり,362万円(1万円未満四捨五入)を支払うべきである。
    (10,237,833-3,000,000)×1/2=3,618,916(円)
  (5) 本件手続費用は,支払った当事者の負担とする。
    よって,主文のとおり審判する。

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