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不貞行為をした申立人妻から夫に対する婚姻費用請求について認められるか否かについては争いがあります。

学説の状況については、「別居の経過」や「別居の原因」ではなく、「破綻の程度に応じる」という考え方が主流になっており、有責性の程度というより破綻性の程度という新しい新概念を提唱しているものと考えます。

女性の側からすると不貞行為をしていなくても婚姻費用が減少する可能性がありますし、男性の側からすると不貞行為をされていなくても没交渉の場合は婚姻費用の支払義務が低減されるということもあります。したがって、裁判所が破綻を量的にとらえて、破綻性に応じて婚姻費用を決めるとなると、算定表も見直しの必要性が生じますし、新しい理論的視座の広がりがみられるかもしれません。

もっとも、実務的には、ひとり歩きを始めた「算定表信奉」がさらに強くなり宗教的になってきているという印象を受けます。

最近、有責配偶者の女性の婚姻費用請求に複数対応しましたが、結論的には、一つでは結論において勝ちましたが、もう一つは裁判官がおかしい人で証拠に基づかない人でやむを得ませんでした。奇しくも弁護士会が公表した裁判官評価で、顕著に評価が低いとして特筆されている人でした(家裁は実質担当者が少ないのでサンプルの数やクレーム性向をみると誰だが明確に分かってしまうのです。)

それは事実認定の問題なのですが、理論的に算定表信奉が強まり、「もう算定表でいいじゃないか」という思考停止的発想が広がりつつあります。名古屋家裁でも、以前は婚姻費用や養育費も係数で計算して審判をしていましたが、裁判官が全員5段階評価で2評価を受けて、民事裁判所では2評価の人はいないという実態は、こういう算定表信奉による思考停止も影響しているのではないかと思います。

昔話をすれば、婚姻費用も調査官調査を入れていることがありました。つまり、どれくらいならば家計を維持できるのか調査官が調査するのです。

しかし、今は、審判はこんな感じです。ふたりの収入をみると、「4万円から6万円のやや上の方に該当する。そうすると算定表から導き出された婚姻費用は5万円と解するのが相当である」というのです。まるで司法修習生の法律相談のようで、双方とも算定表を理解している弁護士同士での準備書面の投げ合いをやりましたので、裁判官より弁護士の方がレベルが高かったといえるでしょう。

ところで、有責配偶者でも、今後は婚姻費用はカットされない方向性に進む可能性が高いかな、という視座です。つまり、有責配偶者だから自分の分の婚姻費用がもらえないといっても、実際は婚姻費用は女性が男性に請求するものですが、男性が不貞しても別に増額されるわけではありません。そして、不貞行為の有無について、婚姻費用を決めるにあたって、慰謝料を認める並みの事実の調査をするのは確かに建て付け上、簡易迅速の趣旨に反する、ようにも思われるのです。

しかし、ある裁判所で結論では勝訴した事案では、本来的には離婚訴訟の財産分与で清算されることが期待されると記載されていました。しかし、離婚訴訟を担当する裁判官の方が書いた書物をみると、有責配偶者の婚姻費用の問題は婚姻費用の手続で解決されることが望ましいと書いてありました。結局、婚姻費用の減額は判断する場所の押し付け合いで、審判になるとよほどの証拠が端的に提出された事案を除けば、認められない方向性に行くのではないかと考えられます。

とはいうものの、有責配偶者の男性は継続的に婚姻費用を支払わなければなりません。そうだとすれば、女性側が減額されるということとの平仄はあっているようにも思われますので、むしろ破綻性、つまり婚姻破綻を量的に認定して婚姻費用を決めるという考え方の方が、社会常識に合致していると思われます。紹介する裁判例の中では、法律婚状態で没交渉だけど婚姻費用を支払わなければならないというのはおかしい、という点や、夫婦の問題は別居前後ある程度の時間軸をとる必要があるものの別居時のみの有責性で判断される傾向などもあります。

紹介する裁判例をみると多数の裁判例は有責性そのものが婚姻費用の減額又は免除理由になるとしています。具体的には不貞行為であり、それ以外は今般では有責性の理由にはならないものと考えられます。

1 紹介する裁判例は、大阪高裁決定平成25年9月20日平成25年(ラ)第799号、福岡高裁宮崎支部決定平成17年3月15日家月58巻3号98頁、大阪高裁平成20年9月18日平成20年(ラ)615号、東京高裁昭和58年12月16日家月37巻3号69頁の各高裁決定、神戸家裁尼崎支部決定平成17年12月27日(平成17年(家)684号)、東京家庭裁判所平成20年7月31日家月61巻2号256頁です。

2 大阪高裁平成25年は、以下のとおり判示している。
(1) 夫婦は,別居中であっても,別居の原因が専ら又は主として婚姻費用の分担を求める者にあるなど,婚姻費用の分担を求めることが信義則に反するといえるような特段の事情がない限り,他方には婚姻費用分担義務がある。
(2) 原審申立人はAと同棲しており,当事者の婚姻関係は形骸化していたから,この間については原審相手方に婚姻費用分担義務があるとはいえない。
(3) そして,原審申立人がAとの不貞関係を解消して,原審相手方との夫婦同居の生活に戻った場合には互いに婚姻費用分担義務があるといえる。
しかし,原審申立人は、再同居以降わずか1年半程度同居しただけで再び自宅を出て別居したことからすれば,原審申立人は,原審相手方の財産を取得することを目論んで一時的に原審相手方の元に戻ったものと認められる。
推認するほかなく,これに,原審申立人のこれまでのAとの不貞関係の経緯をも勘案すれば,原審申立人が原審相手方に対し婚姻費用の分担を求めることは,信義則に反して許されない。

3 福岡高裁宮崎支部平成17年は、以下のとおり判示している。
(1) 抗告人(夫)と相手方(妻)は,昭和53年4月6出本件婚姻の届出をした夫婦であり,その間には,長女C,長男D及び二女Eの3人の子がある。
(2) 平成13年9月,相手方は,再度,単身自宅を出て○×町所在の同人の実家に単身戻って抗告人と別居(以下「本件別居」という。)し,さらに,同年11月,肩書住所の借家に単身転居し,本件別居状態は,現在まで継続されている。
(3) 本件別居中,抗告人は,相手方に対し,平成14年3月,夫婦関係調整調停事件の申立てをしたが,同事件は,同年9月10日,不成立により終了した。また,相手方は,抗告人に対し,平成15年5月,不動産仮差押命令(被保全権利は財産分与請求権923万5000円,慰謝料請求権500万円)及び面会禁止等仮処分命令の各申立てをし,同6月16日,その旨の保全決定を得た。
(4) 相手方は,抗告人に対し,同年7月22日,離婚等請求事件を提起し,民法770条1項5号に基づく離婚,財産分与及び離婚慰謝料500万円の支払いを求め,また,抗告人は,相手方に対し,同年12月11日,予備的反訴請求事件を提起し,離婚慰謝料(不貞)500万円の支払いを求めた(以下,これらの訴訟を「別件訴訟」という。)
(5) 本件は,平成16年2月25日,宮崎家庭裁判所調停事件として申立てがされ,同年5月7日,不成立により審判に移行した。
(6) 平成14年12月22日,相手方は,Fと2人だけで自動車に乗り,人目を避けて駐車しているところを,抗告人の依頼を受けた興信所の調査員にその場面を撮影された。
(7) 別件訴訟は,本訴については,平成17年2月15日,1審判決の言渡しがされた。同判決は,相手方とFの不貞の事実を認定した上,本件婚姻関係はこれにより破綻したものであり,相手方はこれについて有責であるが苛酷条項の適用はないものと判断して相手方の離婚請求を認容し,相手方の慰謝料請求を棄却し,抗告人に対し財産分与として,621万2035円の支払を命じた(控訴中)。
(8) 本件抗告事件記録により認められる基本的事実によれば,相手方がFと不貞に及んでこれを維持継続したことを有に推認することができる。
 相手方は,Fと不貞に及び,これを維持継続したことにより本件婚姻関係が破綻したものというべきであり,これにつき相手方は,有責配偶者であり,その相手方か婚姻関係が破綻したものとして抗告人に対して離婚訴訟を提起して離婚を求めるということは,一組の男女の永続的な精神的,経済的及び性的な紐帯である婚姻共同生活体が崩壊し,最早,夫婦間の具体的同居協力扶助の義務が喪失したことを自認することに他ならないのであるから,このような相手方から抗告人に対して,婚姻費用の分担を求めることは信義則に照らして許されないものと解するのが相当である。
4 大阪高裁平成20年は、以下のとおり判示している。
(1) 夫が妻から離婚話を持ち出され、ついで妻が男性とラブホテルから出てくるのを見て、妻と離婚することを決意して家を出たという事案である。
(2) 妻は、男性とラブホテルに宿泊したことを認めながら・・・不貞行為はないと主張した。
(3) 別居中の夫婦間の婚姻費用分担額は、義務者において、いわゆる生活保持義務を負担していることを原則として算定されるものであるが、当該別居に至った原因が専らあるいは主として分担を求める権利者に存在する場合には、信義則上、上記義務は軽減され、分担額は、権利者が現に監護している未成熟子に係る養育費相当分に止められ、権利者に係る部分についてまで分担する必要はない。
(4) 当事者の別居は、夫が妻の不貞を強く疑って家を出たことによるもので、夫がそのような疑いを抱いたことについて、それなりの客観的根拠があったものと評価することができる。

5 東京高裁昭和58年は、以下のとおり判示している。
(1)  昭和45年5月25日、かねてそううつ病と診断されていた抗告人は、医師から入院治療をすすめられたが・・・相手方は、・・・5月30日に2人の子を連れて名古屋市内の実家に帰ってしまった。
その後、抗告人は、昭和45年6月実母イサノを保護義務者として入院したが、相手方は主治医の病歴照会にも応ぜず、また同年10月末に抗告人が退院するまで全く面会にも行かず、この間の同年8月26日には、二人の子と共に、名古屋市への転出手続をした。
(2) 抗告人は、昭和46年2月・・・電話等で相手方に同居するよう話合いを求めたが、相手方は終始これを避け、昭和47年以降昭和54年までは互いに全く音信のない状態が続いた。
(3) 昭和54年1月、抗告人は久保比佐栄と見合をし、交際をはじめ、54年2月から3月にかけて、離婚問題を話合うべく三回にわたり相手方の実家に行った・・・他方、相手方は昭和51年4月短期大学に入学し昭和53年3月これを卒業し、その後も実母や姉などの助力をえながら雪印乳業株式会社に勤務して、二人の子供の養育を続けた。
(4) 抗告人は、・・・昭和56年5月同庁に再び離婚調停を申立て、これが同年12月不成立になったので、昭和57年7月東京地方裁判所に離婚訴訟を提起した。
(5) 婚姻が事実上破綻して別居生活に入ったとしても、離婚しないかぎり夫婦は互に婚姻費用分担の義務があるというべきであるが、夫婦の一方が他方の意思に反して別居を強行し、その後同居の要請にも全く耳を藉さず、かつみずから同居生活回復のための真摯な努力を全く行わず、そのために別居生活が継続し、しかも右別居をやむを得ないとするような事情が認められない場合には、前記各法条の趣旨に照らしても、少なくとも自分自身の生活費にあたる分についての婚姻費用分担請求は、権利の濫用として許されず、ただ、同居の未成年の子の実質的監護費用を婚姻費用の分担として請求しうるにとどまるというべきである。
(6) 相手方は抗告人の意思に反して別居を強行し、その後の抗告人の再三の話合いの要請にも全く応ぜず、かつみずからは全く同居生活回復の努力を行わず、しかも右別居についてやむを得ない事情があるとは到底いいがたい状態で10年以上経過してから本件婚姻費用分担の申立をしたものと評価すべきであるから、自己の生活費を婚姻費用の分担として抗告人に請求するのは、まさに権利の濫用であって許されず、ただ相手方と同居する長女敦子、二女知子の実質的監護費用だけを婚姻費用の分担として抗告人に請求しうるにとどまる。
5 神戸家裁尼崎支部平成17年は、以下のとおり判示している。
(1) 3児がある夫婦が、些細なことから双方が殴り合う喧嘩となり、妻が夫に出ていくよう求め、別居に至り、妻から婚姻費用分担を求めた事案である。
(2) 申立人は、第三子懐妊のころから、他の男性と不貞の関係にあり、これを相手方が疑って、離婚問題に発展していた。
(3) 夫婦の破綻について責任の大きい当事者が他方に対して婚姻費用の分担を求めることは、信義則上認められるものではない。
(4) 申立人は、専ら婚姻関係の破綻を招いた有責配偶者であるところ、その不貞を否認し、客観的証拠に反する主張をするなど、その行動や対応は信義に反する。
(5) 自らの生活費を婚姻費用に含めて相手方に求めることはできない。
6 東京家庭裁判所平成20年は、以下のとおり判示している。
(1) 申立人が平成18年×月から勤務していた会社には,同僚としてDがいたこと,申立人は,平成19年×月×日,Dと二人でプリクラを撮影しているが,その中には申立人がDの肩に手を回して抱き合うポーズをとっているものや,口吻を交わしているものがあること,申立人は,平成19年×月×日に家を出た後,同月×日ころから,Dが賃借しているアパートで暮らすようになったこと,申立人は自分の衣類ばかりでなくDの衣類も一緒に洗濯して上記アパートのベランダに干すことをしていたことが認められ,これらによれば,申立人は,遅くとも平成19年×月にはDと不貞関係を結んでいて,別居後はDと暮らしていたものと認められる。
(2) 申立人は,プリクラの写真は,Dを含めた会社の仲間4人と飲みに出かけ,罰ゲーム的なものとしてふざけて撮ったものであると供述するが・・・考えられない・・・。
申立人は,相手方の行動が常軌を逸していて困り果てて会社の同僚に相談したところ,Dのアパートに避難する方法を同僚が考えてくれて,Dもこれを快諾し,アパートを出て知人宅に移ってくれたと供述するが・・・到底信用できないものである。
(3) 以上によれば,別居の原因は主として申立人である妻の不貞行為にあるというベきところ,申立人は別居を強行し別居生活が継続しているのであって,このような場合にあっては,申立人は,自身の生活費に当たる分の婚姻費用分担請求は権利の濫用として許されず,ただ同居の未成年の子の実質的監護費用を婚姻費用の分担として請求しうるにとどまるものと解するのが相当である。

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