親権・監護権

親権者を変更するには?

ご夫婦が離婚を決められたとき、お子さんがいるときは親権者をどちらにするか、を決めることになります。協議離婚のときは離婚届に親権者をどちらにするか、という記入欄もあります。 もっとも、親権というのは「親の子どもに対する権利」と考えてはいけません。むしろ、「親の子どもに対する義務」と考えてお子さんにとって一番良いのは何かという観点から決めることが大事です。 お子さんの保護者になる方は、お子さんの健康、教育に責任を持って、何より愛情をもってお子さんを立派に育てていかないといけません。その際、離婚したとはいえ多くはお父さんとの面会についてはどういう考え方であるのか、というのもセットで考える必要があります。

親権者変更の調停・審判

親権者はいったん決められてしまうと、親権者変更の調停・審判というものがありますが、基本的にはお子さんが親権者の変更を望んでいるなどの特別な場合を除いては、難しいのではないかと思います。 最近の例を挙げますと、親権者になったお母さんが死亡したことから祖母が未成年後見人になったがその後お父さんを親権者にすることを認めた事例、宗教上の理由から親権者はお父さんとされたものの服役中である場合において、親権者変更を認めないイラン法は公序良俗に反するとしてお母さんへの親権者を認めた事例などかなり特殊な例に限定されているといえるのではないでしょうか。 また、子どもは監護を受ける親に心理的な配慮をしますから、他方の親に対しては批判的になるといった心理的傾向がみられるといった指摘もあります。これはいわゆる忠誠葛藤といわれています。さて、離婚後の親権者変更についても現状維持の原則が働きますので、子の最善の利益にとって必要な場合のみ親権者の変更が可能となります。典型的なものとしては、親権者の長期の入院、海外転勤、養育環境の悪化、虐待、性的不品行などがある場合には、子の最善の利益に反するものとして変更が認められることがあります。 従って、いったん親権者が決まってしまえば、変更をすることはかなり難しい問題です。法律相談をお受けしていても、受刑者の父親が親権者になっている例などありますが、離婚時にお子さんの将来も踏まえて親権者を決めておく必要があります。それがお子さんに対する愛情といえるのではないでしょうか。

それでも親権者を変更したいなら

親権者については、慰謝料のように量的な問題ではありません。欧米では離婚しても夫婦共同親権を制度として残している国があります。しかし、日本では、一方は親権を失ってしまいますので、親権者の指定に争いがあるとその争いはとても鋭いものになることがあります。 もっとも、お母さんとしては親権者となりたいと望むことが多いでしょうが、経済的に成り立たないのではないか、社会経験がないのに大丈夫なのか、といった漠然とした不安感が争いの背景にあることも少なくありません。私の担当した案件でもお母さんが宗教に熱心であり、お父さん側が不安を持っていたという事例がありました。 こうした場合は弁護士を選任して、調停・審判のパートナーとすることをおすすめします。親権者の指定はとかく弁護士が代理人としていない場合はお互いの非を言い争う期日を重ねることも少なくありません。しかし、親権者としての適格性について意味のある事実は法的にはある程度確立されていますから、パートナーになる弁護士に書面にしてもらい自分がいかに親権者として適格性があるのです、ときちんと言い分、お子さんに対する想いを伝えることが大事と考えます。 現在は、小学校中学年までの子どもについては、よほどのことがない限り「母性優先の原則」というものが妥当して、お子さんの教育や育児について、それほど慎重な検討をすることがなく親権者を母親に指定する例が圧倒的といえると思います。母性の保護の尊重という見方の一方で、実質的な要素を小学校中学年前の子どもについても主張することが正しいのではないか、と思います。 むしろ、裁判所の考え方は、両親のうちのどちらが適格性を有しているのかというのをゼロベースで検討してもらえる、そういう方向性に向かいつつあると思います。ですからお母さんは適格性を高めるために就労などの努力は評価のポイントになります。また、場合によってはお父さんの方が適格性を上回る場合も出てくるかもしれません。親権者の変更は協議ではできませんので、審判の申立が必要になりますので弁護士に依頼する必要があります。そして、親権者変更が認められない場合は、面会交流の機会を増やすように交渉をすることもひとつです。

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