面会交流

生物学的親子関係のない実父との面会交流

当サイトでも取り上げている生物学的親子関係のない実父との面会交流を考えたいと思います。いろいろいわれますが、再婚後の面会交流にも影響を与えると考えられます。本件では分かりやすく言うと婚姻中に不倫をしたAさんがYとの間にBをもうけ、XとAはしばらくの間夫婦生活を続け、XもBを自分のこどもとして可愛がっていたというテレビドラマのような事例である。大阪家裁及び高裁は母親側に軍配を上げ、最高裁で父親側の劇的勝利に終わったという事例である。その後父親側から面会交流が申し立てられました。

DNA判決の後の家裁:面会交流却下

 

面会交流権の学説

面会交流権については、東京家裁昭和39年12月14日以来、家裁の実務で、民法766条1項の「監護について必要な事項」として認められてきた。最高裁でも昭和49年7月6日によって認められ、その射程は最決平成12年5月1日によって別居中の夫婦にまで拡大されました。

平成23年で面会交流は明文化されていますが、法的性質は、①親の自然権説、②監護に関連する権利、③自然権・監護に関連する権利説、④親権・監護権の一部説、⑤子の権利説、⑥親の権利及び子の権利説があります。

今日においては、これまで開示された学説のなかで⑥説を支持する見解が有力であり、私見も妥当と考えます。

もし⑥説によるならば、親の権利と子の権利のバランスを図らなければならない。その点については、次に、本件の事実関係や判旨とともに、様々な角度から詳しく検討を試みる必要がある。

法律上の父と認められながら、面会交流が認められない「法律上の父」って?

特段同一裁判官が担当するわけではないのだが、評釈の中には、大阪家裁はもともと嫡出否認を認め親子関係の不存在を宣言していたのだから、本件決定も守備一貫すると説明するものもある。しかし、裁判体が異なると思われるので、やや乱暴な議論のように思われる。

しかしながら、たしかに、結局、「法律上の父に面会交流権が認められないのであれば、それでは、法律上の父の存在意義あ何か、その存在が中に浮いてしまうのではないか」との疑問は避けられない。

大阪家裁の審判例によれば、再婚家庭でも面会交流が命じられる例が枚挙に暇がないのであるから、審判を単純に受け止めると、「法律上の親子でも血縁関係がないと面会交流を認めるのは難しい」とあるが、養子縁組をした際に、父が養子に面会交流を求めることはさほどめずらしいこととは思われず、大阪家裁の単純な受け止めはうなずけるものではない。

再婚家庭に認める場合において、DNA判決で法律上の父子関係があるこどもと親が交流するのは子の利益に叶うのか

 本件では、面会交流について、間接的面会交流から始めるのが妥当とする見解もある。後記に判例を紹介することにしたい。しかしながら、一般論として、裁判所としては将来の面会交流は否定していない場合でも、実態としてはその間に身を隠すといった方法で、再度、直接交流の話し合いをすることは難しいのが実態である。

 この点、裁判所は将来課題とすることで案件を閉じようとするが、母親サイドとしては実質勝訴と受け取って、母が4か月に1回、子それぞれの近況を撮影した写真の送付を義務付けても、実際は履行しないことが多いと考えられる。

 現実には、数年後、法律上の父と子の面会交流について、距離は短くなっているというのが裁判所の理屈であるが実態は間接的面会交流ではより認められにくくなり、その怒りの矛先は監護親に向けられることもある。

 また、いざ子が事情をある程度理解できる年齢になって交流を深められるかというと、かえって理解したが故に実現しない可能性もある。

 指摘の中には、「再婚家庭のケースでは、多少のブランクがあっても血縁関係がある父子であれば、子は後からでも、もう1人の父を受け入れやすいが本件は違う」というが、前提が間違っていないか、疑問の余地がある。大阪家裁は却下しているが、少なくとも間接的面会交流の手法を用いるべきではなかったのかとする見解が有力である。また、その後の交流を再開する場合でもエフピックを利用するべきとする見解もある。

 もっとも、こどもの年齢がある程度高い場合は、社会的親子関係が形成されている。このような場合、制限的ではない面会交流の実施方法・態様についても考えることができる。

パースペクティブ

シュシュ:自分のパパが本当のパパではなかったというのは、若干ショックだけど、今回のケースは子どもの認識としては、血縁上の父を再婚相手の父、継父だと認識していると思われる点が問題かな。こどもだって、正しい情報を受け取る権利があるよね。親の不倫が原因だとしても。

弁護士:シュシュは、個人的体験もあって母の不倫に手厳しいね(苦)。ただ、いずれの審判においても、面会交流の可否の判断において、生物学上の親子関係、法律上の親子関係、社会的な親子関係をみるべきかなと思います。

シュシュ:将来的には、精子の提供だけ受けて血縁上の父親だけど、法律上も社会的にも親子関係がないということも考えられるもんね。

弁護士:ドイツでは、広く社会的家族関係も根拠に、面会交流権を認めています。

シュシュ:欧米では兄弟姉妹や祖父母との面会交流についての一定の規定があることが多いね。

弁護士:うん。そのうえで、本件に参考になるものが法律で規定されていて、子と密接な結びつきを持つ関係者が子に対し、事実上の責任を引き受け、又は引き受けていた場合も同様とするとされています。この規定に裁判所は拘束されます。

シュシュ:これによって里親、継親のほか、叔父母の親族、養子の実父母など、身分関係や法律関係にかかわらず、子との交流が認められています。日本は父親が最高裁で劇的に勝訴しても、大阪家裁でまた敗訴するということもあるので、日本では詳細な裁判規範を実定法化していく必要があるかもしれないね。

弁護士:今回は不倫が介在している事例でしたが、生殖補助医療などを考えると、面会交流権を認める基礎となる「親子関係」とは何を意味するのか、その解釈の再考が求められる。今回の事例では、稀有な事例ではあるとはいえ、こどもは真実にアクセスし、法律上の父子関係を温めていく権利をも有するという観点から、申立てを却下したのは、いかにも行き過ぎであったように思われます。

最判平成26年7月17日

1 本件は,戸籍上上告人の嫡出子とされている被上告人が上告人に対して提起した親子関係不存在の確認の訴えである。
 2 記録によって認められる事実関係の概要等は,次のとおりである。
 (1) 上告人と甲は,平成11年▲月▲日,婚姻の届出をした。
 (2) 甲は,平成20年頃から乙と交際を始め,性的関係を持つようになった。しかし,上告人と甲は同居を続け,夫婦の実態が失われることはなかった。
 (3) 甲は,平成21年▲月,妊娠したことを知ったが,その子が乙との間の子であると思っていたことから,妊娠したことを上告人に言わなかった。
 甲は,同年▲月▲日に上告人に黙って病院に行き,同月▲日に被上告人を出産した。
 (4) 上告人は,平成21年▲月▲日,入院中の甲を探し出した。
 上告人が甲に対して被上告人が誰の子であるかを尋ねたところ,甲は,「2,3回しか会ったことのない男の人」などと答えた。
 上告人は,同月▲日,被上告人を上告人と甲の長女とする出生届を提出し,その後,被上告人を自らの子として監護養育した。
 (5) 上告人と甲は,平成22年▲月▲日,被上告人の親権者を甲と定めて協議離婚をした。
 甲と被上告人は,現在,乙と共に生活している。
 (6) 甲は,平成23年6月,被上告人の法定代理人として,本件訴えを提起した。
 (7) 被上告人側で私的に行ったDNA検査の結果によれば,乙が被上告人の生物学上の父である確率は99.999998%であるとされている。
 3 原審は,次のとおり判断して本件訴えの適法性を肯定し,被上告人の請求を認容すべきものとした。
 嫡出推定が排除される場合を妻が夫の子を懐胎する可能性がないことが外観上明白な場合に限定することは,相当でない。民法が婚姻関係にある母が出産した子について父子関係を争うことを厳格に制限しようとした趣旨は,家庭内の秘密や平穏を保護するとともに,平穏な家庭で養育を受けるべき子の利益が不当に害されることを防止することにあると解されるから,このような趣旨が損なわれないような特段の事情が認められ,かつ,生物学上の親子関係の不存在が客観的に明らかな場合においては,嫡出推定が排除されるべきである。上告人と被上告人との間の生物学上の親子関係の不存在は科学的証拠により客観的かつ明白に証明されており,また,上告人と甲は既に離婚して別居し,被上告人が親権者である甲の下で監護されているなどの事情が認められるのであるから,本件においては嫡出推定が排除されると解するのが相当であり,本件訴えは適法というべきである。
 4 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
 民法772条により嫡出の推定を受ける子につきその嫡出であることを否認するためには,夫からの嫡出否認の訴えによるべきものとし,かつ,同訴えにつき1年の出訴期間を定めたことは,身分関係の法的安定を保持する上から合理性を有するものということができる(最高裁昭和54年(オ)第1331号同55年3月27日第一小法廷判決・裁判集民事129号353頁,最高裁平成8年(オ)第380号同12年3月14日第三小法廷判決・裁判集民事197号375頁参照)。そして,夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり,かつ,夫と妻が既に離婚して別居し,子が親権者である妻の下で監護されているという事情があっても,子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然になくなるものではないから,上記の事情が存在するからといって,同条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず,親子関係不存在確認の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできないものと解するのが相当である。このように解すると,法律上の父子関係が生物学上の父子関係と一致しない場合が生ずることになるが,同条及び774条から778条までの規定はこのような不一致が生ずることをも容認しているものと解される。
 もっとも,民法772条2項所定の期間内に妻が出産した子について,妻がその子を懐胎すべき時期に,既に夫婦が事実上の離婚をして夫婦の実態が失われ,又は遠隔地に居住して,夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情が存在する場合には,上記子は実質的には同条の推定を受けない嫡出子に当たるということができるから,同法774条以下の規定にかかわらず,親子関係不存在確認の訴えをもって夫と上記子との間の父子関係の存否を争うことができると解するのが相当である(最高裁昭和43年(オ)第1184号同44年5月29日第一小法廷判決・民集23巻6号1064頁,最高裁平成7年(オ)第2178号同10年8月31日第二小法廷判決・裁判集民事189号497頁,前掲最高裁平成12年3月14日第三小法廷判決参照)。しかしながら,本件においては,甲が被上告人を懐胎した時期に上記のような事情があったとは認められず,他に本件訴えの適法性を肯定すべき事情も認められない。
 5 以上によれば,本件訴えは不適法なものであるといわざるを得ず,これと異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,以上に説示したところによれば,第1審判決を取り消し,本件訴えを却下すべきである。
 よって,裁判官金築誠志,同白木勇の各反対意見があるほか,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官櫻井龍子,同山浦善樹の各補足意見がある。

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