面会交流

人の記憶と調査官調査

記憶より記録の方が信用できる―小泉元首相の言葉ですが、裁判所では、わざわざ「記録」を作りません。

最近、子の監護者の指定などは7歳から10歳程度が「子の心情」「子の意向」の調査対象になっていると思います。 しかし、面会交流の場合は、調整の方向性を決めるためか、5歳の少年にもストレートに聴いてしまっている例が散見されます。 もっとも、みなさんは、記憶っていつまでさかのぼれるでしょうか。私は、6歳くらいまでさかのぼることができますが、研究では3歳程度とされているのですが、記憶内容の説明能力という点からすると、学童期前半、つまり5歳以降のこどもでも後期の子どもほどには説明能力が発達しないといえます。 そして被暗示性の研究があります。洗脳といわれるものですが、他者からの働きかけによる子の思い込みについての研究です。 これは意図的・非意図的なものから認知や記憶への影響の受けやすさを示すものといえます。被暗示性とは、他者から得られた情報を自分の体験と思い込んでしまう傾向性があります。 もちろん大人にも被暗示性が強い人はいますが、一般的にこどもは、被暗示性が高いと考えられています。つまり認知的な要因及び対人的な要因で被暗示性が高まるものと考えられています。 したがって、年少児、特に会話ができるという意味では5歳くらいがもっとも暗示されやすいということができるかと思います。3歳から4歳の子は間違ったインタビューに対する影響を受けますが、7歳になってくると、間違ったインタビューに対する抵抗性が出てくるものと考えられています。 すなわち、「4、5歳児では難しくても6歳児であれば、ある程度、自分の言葉で体験を語ることができる」とされています。そして、6歳児は情報源の区別が可能であり、少なくとも分別やモラル的な判断はできるということになります。しかし、1993年の研究では、11歳でも被暗示性があるとされており、5歳前後の少年の場合、被暗示性は高いものと考えなくてはいけません。 すなわち、周囲からの影響を受けやすく、表出する意思をそのまま真実と評価することには危険があることを示しています。しかし、誤導のない調査といってもそのプロセスは可視化されていませんから、誘導的な面接も多く、これに子の意向の尊重も結びついており、今後は、平成20年代初頭にみられた面会交流原則実施説の揺り戻しが起こるであろうと考えられます。

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