調停離婚・裁判離婚

有責配偶者からの離婚請求の法理は男性が被害者の場合には適用されない?

須藤典明元東京高裁判事の「高裁から見た民事訴訟の現状と課題」の中に、有責配偶者からの離婚請求も取り上げられています。

現場の裁判官と同様に、昭和62年の最高裁判決の規範が基本的には重すぎて、社会的実情に合っていないという指摘はよく裁判官からもなされるところです。

元判事は、有責配偶者からの離婚請求について、たしかに不貞はあるにしても、夫婦2人に価値観の違いが出て、夫が先に離婚するとか、出ていけということをいって、妻が働きに出ることを制限しようとしたなどと指摘しています。

夫が離婚に反対しているのは、妻がこどもを連れてフランスに帰ってしまうのではないかとの心配から離婚に反対しているとしています。

要旨は、経済力のある夫が不貞をしたうえで、妻を追い出そうと離婚を求めたケースです。

そして、要旨は、ポイントは相手方配偶者が過酷な状況に置かれること等、著しく社会正義に反する特別の事情が存在しないということが重要な要件としています。

こういう視座からみると、男性は不貞されると圧倒的に不利になってしまいます。つまり、別居期間が長くなくても、婚姻期間がそんなに長くなければ、婚姻破綻の責任が不貞だけではないという事情があり、かつ、夫に十分な収入があっても、夫が過酷にならなければ社会的正義に反しないと論じます。

しかし、これでは、男性の有責配偶者は、10年以上離婚できないことがザラであるのに対して、女性の有責配偶者は夫が経済的に過酷などと云うことはあまりありませんから、その差異が著しく、法の下の平等に反しているのではないか、と思います。

未成熟子がいないこと、長期の別居、過酷要件のうち、未成熟子は子の福祉の観点もあるでしょうから、監護状態が問題なければ良いというのも違和感のある論述です。

特に、今般、裁判所でも、海外出国の恐れがある場合には厳しくなっていると思いますから、それを日本国内においてあまり実効性のないハーグ条約による救済といっても、フランスに帰られると月1回の面会交流すら難しくなりますから、それで解決ができるというのは、離婚を否定すべき理由であり、離婚を否定すべき理由にならないとするのは、昭和62年の最高裁判決を正解していないように思います。

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