調停離婚・裁判離婚

離婚調停のスタート!家事調停事項って何?

離婚の手順―家庭裁判所で話し合える家事調停事項とは?

さて,江藤家族、夫鈴世さん(33歳)となるみさん(33歳)の間には、緋生くん(8歳)、千騎くん(5歳)の4人家族です。
鈴世さんは小学校教師でテニス部顧問をしていることから日曜日も小学校にいってしまうことに、なるみさんは不満に思っています。他方、鈴世さんも、なるみさんが、幼稚園教諭として、280万円程度の収入を得て扶養から外れていることに、少し不満に思う心情を持っているようです。

鈴世さんとなるみさんは、こどもの教育方針や性格の不一致などから口論がたえないようになりました。そこで、鈴世さんは離婚弁護士に離婚協議サポートの申込みをしましたが、なるみさんは、夫側弁護士の提示する条件では協議離婚には応じられないと拒みました。そこで、離婚調停を申し立てることになりました。

調停前置主義

なるみさんは、いったん実家に帰ろうとしましたが、もともと鈴世さんとなるみさんは鈴世さんの実家で生活をしていました。そして、孫が多いことから親戚が多く集う祖父母宅から千騎くんは離れたがりませんでした。そこで、なるみさんは、強行突破で、緋生くんを連れて実家に帰りました。もっとも、なるみさんの妹は妹夫婦がいること、なるみさんの父は教師で鈴世さんと同じ職場であることから鈴世さんの肩を持ちがちであることから、なるみさんも、離婚弁護士に相談をすることにしました。

東京に住んでいる方の場合、管轄が大問題となります。調停は相手方住所地で行うからです。もっとも鈴世さんとなるみさんは小学校からの実に27年以上の付き合いであり、管轄は同じ名古屋家庭裁判所でした。

なるみさんは、離婚弁護士と協議をして、離婚、親権、養育費、婚姻費用を論題にあげることにしました。財産分与については、なるみさんも働いていることから、離婚後に考えればいいし、若い夫婦であることから、夫婦で共同して作った財産も少ないことから財産分与や年金分割は求めませんでした。また、慰謝料は請求はしましたが、鈴世さんに一方的落ち度があるとはいえないことから解決金という調整金をもらうために申し立てたものでした。

さて、本件では、鈴世さんは、千騎くんを自分の実家に置いており、祖父母は健在であり、父は小説家、母は専業主婦でふたりとも家にいることが多いことから、監護補助者がいました。
特に、千騎くんは祖母の隔世遺伝といわれるくらい、髪の毛の質や顔立ちが似ていました。そこで千騎くんは、父方実家では特に可愛がられていたのでした。

なるみさんは、子の監護者指定と引渡しを求めました。なるみさんは、別居の段階では、千騎くんを連れ出すことができなかったが、監護体制が整ったから引き取りたいとの申立でした。監護者の指定は親権者になれるかの重要なウェイトを占めることになります。

一方、こどもが分属することになったことから、鈴世さんは緋生くんと、なるみさんは千騎くんと面会交流を求める調停を起こしました。

 

夫婦関係調整はオールマイティの調停ですが不調になると、自動的には何も審判には移行しません。審判に移行するものは概ね婚姻費用、面会交流など独自に申し立てておく必要があるものばかりです。したがって、審判に移行しないでたなざらしということもあり得ますので、離婚専門弁護士に相談して手続選択も考えておいた方がいいでしょう。
財産分与や養育費は離婚後の審判の方が簡易迅速に決まりますので、後回しにするという方法もあります。

 

この問題も調停で合意ができなければ審判に移行することになりますが、こどもの問題がからむことになりますが、手続インテークで結論が決められます。そして結論に沿って調査官調査や審判がなされますので、あまりこの手続に固執するのは相当ではないように思います。特に、最近は子の監護状態の安定という点のみが受命事項となり幼児の場合は安定していれば却下するという結論を決めて、それに沿う方向性での資料収集を裁判所が行います。
これに対して、なるみさんのように、当時は、別居で千騎くんを連れ出す余力までなかったという場合はどうなるのでしょうか。この場合は、特段明確な指針はなく、これまでの主たる監護者、その監護の適格性、子の意向、監護の継続性などを総合判断して決めているため、予測可能性を欠くものといえます。

 

弁護士の意見にとらわれず夫婦でこどもと遊んでいることも必要

鈴世さんは、27年にも及ぶなるみさんの仲について、不貞も暴力もないのに終わらせることはできないと思い、自分を顧みてテニス部の顧問を止めるなどの条件や土日は自宅にいるようにするといった提案をしました。また、なるみさんには、幼稚園教諭の仕事については、少し頻度を減らして千騎くんと一緒にいる時間を増やして欲しいと頼みました。

そして、鈴世さんとなるみさんは、裁判所に互いに申出て合同面接というありかたがあることを知り、互いに裁判所で一緒にプレイルームに入り、千騎くんと緋生くんと遊ぶということをしました。
合同面接が終わった後、緋生くんは、控室から飛び出してきて、帰ろうとする鈴世さんと千騎くんに涙ながらに一緒にいようと叫びました。千騎くんも涙があふれていて、ふたりは抱き合っていました。
このように、こどもと一緒に遊ぶことによって、親が看過されるという「親教育」の一環がかつて松江家庭裁判所で行われていました。鈴世さんは、自分に責任があるから戻ってきてほしいと申し出て、なるみさんの実家に行き、なるみさんのお父さんにも謝罪をして、なるみさんと緋生くんを連れて家に帰ることができました。

それまで同居を再開するまでの間、鈴世さんとなるみさんは、面会交流を重ねて、裁判外での話し合いを解決し、弁護士にバックアップをそれぞれしてもらっていました。裁判所には、試行的面会交流というものがありますが、これは正式に決める前に、一度家裁でこどもと会ってみましょうというものですが、本来的には非監護親とこどもとのふれあいをマジックミラーでみてもらうことにより、面会交流の大切さを理解してもらう親教育のために行われるものです。それをマジックミラーを通さないでストレートに行っていたのが松江家裁調査官グループだったのです。

しかし、弁護士は協議離婚が苦手です。なぜなら、お金だけとられてしまい離婚届を提出せず、不受理申出をなされ、さらにお金をとられるという事態になっている人が多いからです。ですから、離婚届はなるべく自分でもらい、もらったら夜間窓口に出しに行くことが大事です。離婚届をもらっておきながらいそがしい、いそがしいという間に不受理申出がなされる人もいます。このようにお金だけ払って離婚できないというケースもあります。

さて、本件では、もともと鈴世さんの実家で過ごし、なるみさんが千騎くんを置いて出て行ったというものですが、この場合、審判前の保全処分は認められませんが、監護者指定では、実家にいて、祖父母が監護にあたれる鈴世さんと、忙しい祖父と妹夫婦がいるなるみさんの実家とでは、有意な差があるかというと、やや鈴世さんの実家の方に分があるように思います。幼馴染婚に多い、ちょっとしたことからの齟齬をこの夫婦は克服したといえるかもしれません。

しかし、克服するにしても、離婚するにしても、その道のりは大変長いものです。ですから、離婚を決める場合には十分な準備と離婚専門弁護士と援助が欠かせないといえます。

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