協議離婚の際の注意点

離婚届けの不受理申出制度

離婚届の不受理申出制度

 私は夫から離婚を迫られていますが、私には離婚の意思はありません。しかし、夫は私に無断で離婚届けを出すおそれがあります。

 これを阻止するためには、どうすればよいのでしょうか。

離婚届けの不受理申出の届出をするのがよいと考えられます。

1 不受理申出制度の意義

 協議離婚は、夫婦が離婚に合意し、離婚届を市区町村長に届け出ることによって成立します。

 協議離婚においては当事者間の合意が要件ですが、離婚届の受理に際しての市区町村長の審査は形式的審査にとどまり、離婚意思の調査がなされません。そのため、他方当事者の意思を無視した届出でも受理されることがあるわけです。このような届出は無効ですが、戸籍の記載を消去するには確定判決を得て、戸籍の訂正申請をしなければなりません(戸籍法116条)。なお、戸籍の訂正をしても、不実の記載の痕跡は残るので(いわゆる「戸籍が汚れた」状態)、当該訂正に関する事項の記載をなくすためには、さらに戸籍の再製を申し出る必要があります(同法11条の2)。

 そこで、このような本人の意思に基づかない無効な届出の受理を防止する方策として、いわゆる不受理申出制度があります。すなわち、離婚届が勝手に提出されてしまう場合に備えて、仮に離婚届出がなされても、窓口で本人確認ができない場合には受理をしないように、あらかじめ市区町村長に対して申し出る制度です。そもそも離婚意思がないので離婚は無効ですが、離婚無効の調停や離婚無効の裁判をしなければならず、事実上、戸籍をめぐる問題のみで裁判をしなければならないので、あらかじめの予防が大切といえます。

また、めちゃくちゃな離婚条件にサインをしてしまった場合などもいったん不受理願いを出して再協議を申し出るということも考えられます。

離婚弁護士に相談されると良いように思われます。

2 具体的方法

 原則として、申出本人が市区町村役場に赴いて直接申出をします(戸籍法規則53条の4第1項)。被本籍地の市区町村役場でも申出は可能です。申出は書面でする必要があり、窓口に備え付けの不受理申出書がありますので、氏名、生年月日、住所、本籍等を記入し提出します。このとき、本人確認のために運転免許証などが必要です。

 疾病その他やむを得ない事情により出頭できない場合にのみ郵送での申出が可能です。しかし、この場合には公正証書又は公証人の認証を受けた書面の提出が必要なため、直接出頭するより大きく手間も費用もかかります。

3 不受理申出の効力

 不受理申出中に配偶者により離婚届が出された場合、申出者に離婚届が提出されたという通知がされます。そこで申出者本人が出頭して確認がされない限り、離婚届は受理されないことになります。

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