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協議離婚が成立したとして夫の署名や押印を捏造した妻に刑事責任が問われました。

札幌・手稲署は1日、夫との協議離婚が成立したとする虚偽の離婚届を提出したとして、電磁的公正証書原本不実記録・同供用の疑いで、札幌市、無職の女性の容疑者(36)を逮捕した、とのことです。

 一部報道などを総合しますと、「離婚届の夫の署名や押印を捏造(ねつぞう)し、3人の子どもの親権が自分にあると記載していた。」などと報道されており、弁護士ドットコムニュースの報道によりますと、女性容疑者は0~12歳の子どもが3人おり親権争いを避けるためとのことです。

 かけられている嫌疑は、逮捕容疑は8月9日、夫の同意を得ずに札幌市手稲区役所にうその離婚届を提出し、受理させて、区役所職員をして戸籍簿にうその記載をさせて戸籍を発行させたというものです。

 夫が8月14日に警察署に相談し、うその離婚届の提出が発覚した。弁護士ドットコムニュースの報道によりますと、警察署は「これまでに夫婦間のトラブル相談を数件受けており、経緯を調べている」との指摘もあるとのことです。

 夫婦間でのトラブルがあるので離婚するのでしょうが、離婚協議が充分でないまま、勝手に署名・押印をして離婚届けを提出してしまった、というものです。刑法上は私文書偽造罪に問われますが、受理され戸籍官吏が、戸籍に離婚情報を反映させてしまいますと、公正証書原本不実記載罪に問われることになります。決定的に、私文書偽造罪と公正証書原本不実記載罪では後者の方が公共の文書に対する信頼を失わせる点で犯情は悪いですが、量刑上は、あまりいずれであっても変わらないであろう、ということです。

 一般的には、勝手に離婚届けが出されたというレベルに留まり、署名・押印の捏造まで認定され、裁判官が発行する逮捕令状に基づき通常逮捕されるということは珍しいと思います。特に、逮捕者が身の危険を感じたわけではありませんし、離婚事件のような民事くずれの刑事事件の場合、証拠隠滅や逃走の恐れが少ないからです。

 それだけに、安易に協議離婚を行政書士や司法書士に依頼し、離婚手続きを進めていっても、協議離婚が生焼けの結果が、このような結果でしょうから、きちんと刑事法や家事法も理解している弁護士に相談しておくべきではなかったかなと思います。2019年9月2日現在の日本の民法は、共同親権ながら離婚後は単独親権となります。たった一つしかない親権を奪い合うと争いというのは苛烈になります。

 ですから、まずは離婚協議を積み重ねたり、それが無理であれば家事問題を得意としている弁護士に相談し家庭裁判所の正規の手続を経て解決をすべきでなかったかと思います。この点、諸外国では離婚に弁護士や公的な裁判所が何らかの形で関与していることがほとんどです。例えば韓国法では、熟慮期間のうえ、日本の場合、領事面前で宣誓しないと協議離婚できません。その過程で離婚条件が詰められているかが確認される仕組みになっています。

 すなわち、諸外国であっても家族の安定のために、手続が必要と考えておりこれらを省略した日本の協議離婚制度は、諸外国に存在することは珍しいとすらいえます。ですので、困難なときこそむしろ、話し合う必要性があるということがあるということに留意して欲しいと思います。この点、確かに東京家庭裁判所の出入り口付近での痛ましい事件もありましたが、葛藤が高いケースでは、弁護士と一緒に家裁に入りますし、裁判所に配慮を求めることもできます。そうした点も踏まえて、子の福祉のため、養育費、財産分与、面会交流などに留意して離婚条件を決めるようにしましょう。