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共同監護状態に対する否定的な名古屋高裁の判断

共同監護状態であることから、監護者を定める必要はない、として却下する例は散見されていました。 ところが、その必要性がないことがあることは認めながらも、差し戻した裁判例が出されました。 しかし,寝起きする方が監護者になる程度で、量的、質的に有意な差がみられない場合に、あえて親権紛争の前哨性をやる必要性があるのか、判決文をまだ検討できていませんが、調査官調査について重視する決定が名古屋高裁本庁でも出されていますが、それがマストになるのか、ちょっと疑問ですし共同監護状態が崩れること自体がこどもの最善の利益にかなわず、そのきっかけになる可能性もあるのではないかと抽象論では想うところです。 2 判断   (1) 父母の別居中における未成年子の監護者の指定等については,父母の監護者としての適格性を比較考慮した上で,子の利益を基準とし,どちらの親の監護に委ねるのが子の福祉に適するかという観点から総合的に判断されるべきであるが,父母の別居にもかかわらず共同監護が適切に行われていて,それを継続することが子の福祉の観点から最良と認められるのであれば,監護者を指定しないことも選択肢としてはあり得るところである。   (2) 上記認定によれば,原審の審理終結日(平成27年□□月□□日)までは,未成年者らの監護方法を巡って時には抗告人と相手方との間で口論となることはあっても,双方とも冷静な姿勢を保ち,未成年者らは,抗告人と相手方の双方宅を行き来し,それぞれにおいて親子の共同生活を営んでいて,両当事者の交替監護(一種の共同監護)に服しており,未成年者らも,一応このような二重生活に肯定的な意向を示していた(もっとも,未成年者らがこのような状況を積極的に受け入れていたかは疑問であり,特に長女は両親の諍いの板挟みになって,それなりに心を痛めている様子がみて取れるのであって,平穏な監護状況が続いていたとはにわかにいい難いものである。)。     しかしながら,このような交替監護は,双方が冷静な対応に終始している限りでの事実上の措置にすぎず,明確な合意に基づかない不安定なものであり,しかも,両者間の紛争状況からすれば,近日中に確たる合意が成立する見込みがあるとも認め難い。また,相手方が抗告人からの電話の着信を拒否するなど,交替監護を巡る連絡調整が困難となる状況が出現したりして,原審判後,監護方法に関する双方の諍いは激しさを増し,相互に不信感を募らせていることは疑いなく,それがどちらか一方の落ち度というものでないとしても,未成年者らの面前での口論が絶えないなど,適切な対処ができていないといわざるを得ない。それでも現時点では一応の冷静さが保たれているとはいえ,非常に危うい状態であることがうかがえるのであり,離婚の当否を巡る紛争もあって,未成年者らの監護を巡り深刻な対立に発展するおそれが拭い切れないものである。     そして,両親の諍いの激化を受けて,未成年者らの様子にも変化が現れ,長女においては,両親の板挟みになって心を痛める度合いが明らかに強くなっているし,長男においては心身に変調を来しており,両親の諍いに日常的にさらされて,その葛藤による悪影響が顕在化していることが懸念されるところである。しかも,未成年者らにとって,これまでの幼少期はある程度二重生活(頻繁な交替監護)を甘受することができても,既に小学校の中学年から高学年にさしかかっており,このような二重生活を続けることが健全な成長を図る上で適切であるとは必ずしもいい難いのであって,殊に今後は日常的に安定した生活が望まれるということもできる。   (3) そうすると,未成年者らの共同監護の状態が一定程度の長期にわたって継続し,未成年者らもそれを甘受する意向を示しているからといって,原審判後の状況も併せ考慮すると,監護者を指定する必要性がないとは言い切れない。原審判は,監護者を指定しても,未成年者らの面会交流を巡る協議で衝突することが見込まれると述べるが,監護者の指定と面会交流は別問題であるし,未成年者らが双方を行き来している現状からして,当事者の一方が監護者に指定されても,面会交流自体を監護親が否定するおそれは少ないと考えられる。     したがって,特に原審判後における抗告人と相手方の対立の激化や未成年者らの心身の変調を受けて,現状のような事実上の交替監護を今後も継続することが果たして子の福祉を図る観点から適切であるか否かは,慎重に検討する必要があり,かえって現時点では監護者を指定する必要性が生じていると考えられるところである(もっとも,追加の調査等により,未成年者らの監護方法を巡る意見の隔たりが解消し,かつ,共同監護の状態を続けることが未成年者らの福祉を損なわないと認められるのであれば,やはり監護者指定の必要性がないとの結論に至ることもあり得よう。)。     そこで,原審判後の状況も踏まえた当事者双方の監護状況及び監護者としての適格性,両者間の紛争の現状及び未成年者らに与える影響,未成年者らの意向・心情等について,特に家庭裁判所調査官の専門的な視点による調査も含めて,更に審理を尽くし,その上で監護者指定の要否等を見極める必要があるというべきである。