養育費

名古屋ヒラソル離婚法6-養育費について

養育費はいくらくらいになるか

1 養育費とは
養育費については、東京家庭裁判所のホームページに掲載されている算定表が目安になります。この点、日本弁護士連合会が提言した新しい算定表というものもありましたが、特別経費を一律認めないなど建付に無理があり、裁判所の算定表が目安になっています。

 養育費とは、こどもが社会人として独立自治ができるまでに必要とされる費用です。養育費の内容としては、既に、子の衣食住のための費用、健康保持のための医療費、教育費は織り込み済みになっています。したがって、これらを根拠に算定表を超えた加算を求めることは特段の事情がない限りできません。

 こどもとは、必ずしも未成年者を指すわけではありませんが、感覚的には14歳くらいまでの離婚の場合は20歳まで、それ以降は、両親に大学進学実績がある場合は22歳までが一つの目安にされているように思います。子の最善の利益の観点から、経済的に独立して自分の生活費を得ることが期待できない重度の障害者などには養育費を支払う必要がある場合もあります。ただし、我が国では障碍者年金制度が発達しており、それも考慮に入れて判断がなされることから、最終的には、総合的な判断となります。

 未成年者でも高校卒業後、社会に出て働いている場合に関しては養育費を請求することはできません。

2 養育費の通常の算定方法
 養育費の犯意は、養育費を支払う親の生活水準と、同等の生活水準を子が維持するために必要な範囲とされています。養育費を算定するうえでの一般的な基準としては、裁判所がつくった算定表というものがあり、インターネットでも見ることができます。一般的には、別居している父母が同居しているというフィクションを立てて、こどもの生活費を求めて、それを収入の割合に応じて割り付けるという建付けとなっています。

3 養育費の諸問題
 過去の養育費を請求できますか、というご相談を受けますが、判例上、出生からの養育を支払いを命じたものもありますが、一般的な見解とはいえず、基本的には調停を申し立てた時から生じると考えるのが、一般的のように思います。
 ただし、婚姻費用と違って養育費は、こどものために分担すべきという発想が強いので、裁判官の個別の価値観や家族観に影響を受けると思います。裁判例の中では、別居時、離婚時とするものです。私も一度、離婚時からの養育費が認められましたが、高等裁判所で調停申立時とされました。これは、知らずにたまってしまった過去分の金銭を一気に支払うよう求められると酷であることや明確性の観点に欠けるため、他方、養育費の過去分の支払いを命じる必要性との調和の観点から決められています。
 弁護士が内容証明で相手方に養育費の請求を行っている場合は、内容証明の到達時と解する見解が一般的のようにも思われます。

4 養育費の終期
 養育費の終期は原則20歳までということになりますが、大学や大学院生、ときに医学部、薬学部のお子さんがいらっしゃる場合、どうするべきかが問題になるときもあります。
 原則は、協議で決まるほかないのですが、原則は留年なしで大学卒業時までは養育費は認める方向性でのあっせんをしている印象があります。
 なお、離婚訴訟では、養育費は明確に20歳までしか請求できません。この場合は、別に扶養請求の調停をすることになります。しかし、扶養の場合、奨学金やアルバイトといった点も考慮されますので、大学進学などのキャリア形成や、相手方にすべての学費を負担してもらいたいというような場合は親権取得のための要件である経済的基盤がないことを意味しますので、この点は再考を要するといえるでしょう。

5 私立学校の授業料や習い事の費用
 よくこどもの私立学校の授業料を相手方に請求できますか、というご質問をいただきますが、算定表は、公立の学校に関する教育費は考慮しているものの、現在、公立学校の授業料は無償になっていますので、オーバーフローする部分について相手方に請求することができるかが問題となります。ただし、習い事は保育園や幼稚園替わりに利用しその必要性が高くない場合もあり、相手方の承諾が得られない場合でその必要性も証明できない場合は、あくまで相手方の意向によることになるでしょう。私立学校ですが、中学や高校については、微妙な問題もあります。相手方が私立への進学を承諾していたら良いのですが、附属高校などでは寄付金等純粋な授業料以外の3倍以上の金額の出費を求められる私学もありました。
 あくまでも私立学校については授業料がベースになるということ、習い事などは相手方の同意が必要となることを理解しておきましょう。この場合は、算定表の目安額に一定額を加算調整することができます。

6 医療費
 繰り返しになりますが、親権者になるということは、経済的な危険も親権者が引き受けるということです。ですから病気になれば気軽に相手に請求できるという感覚では、親権者として相当ではありません。そもそも重度の障害がある場合は障碍者年金等の公的給付の必要性をまず検討すべきです。そして高額医療費は還付の対象になり得ますから、まずそうした公的な制度で対応できないかを一義的に検討するべきように思います。そして、それでも治療費等がかかり得る場合については、協議をすることがあり得ると思います。特に補聴器など高額な医療機器を使用する場合などが考えられると思います。この場合は通常の養育費に加算して請求することができます。

7 相手方が働けるのに無職の場合
 まず女性の場合は、こどもが小さい場合、特に3歳くらいまでは無職でも仕方ないと考えられています。しかし、4歳以降は保育園に預けたり病児保育を利用するなどして、稼働することは可能です。小さなお子さんがいる場合は100万円程度、そうでない場合は200万円程度の所得がなくても認定されてしまう可能性があります。というのも、離婚しても、資産家の方などは、必ずしも労働する必要がありませんし、こどもが小さいうちはこどもにあまりお金がかからないため養育費で生活できてしまう実態もあります。しかし、将来的に養育費の減額を請求される可能性もありますので、200万円程度の年収の職には就いておきたいところです。
 男性の場合は、それこそ傷病手当を受けざるを得ないなど、病気その他の理由により働くことができない特別の事情がある場合を除いては、賃金センサスや前職などを参考にされることがありますので注意してください。

8 相手方には、他の女性との間に認知したこどもがいる場合
 かかる場合、こどもの人数で養育費をまず算定します。例えば、Aとの間のこども、自分との間のこどもが二人ということになると、簡易迅速には「養育費子3人表」をみて、算定した養育費の額の3分の2を受け取れるということになるというのが簡単な考え方です。

9 再婚した場合―養子縁組
 離婚後、いわゆるステップファミリーということで、養子縁組をするということが考えられます。この場合は養子縁組をするのが通常と思われます。この場合、名古屋家裁では、第一次扶養義務を負うのは養親と理解されています。したがって、これまで養育費を支払っていた父は養育費免除の申立ての調停をすることができる可能性もあります。ただし、この点も子の福祉の観点から裁判官によって様々な考え方がありますので、一様ではありません。

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