生活費

扶養(養育)と介護―誰が自立できない人の世話をするのか

自立できない人とは?

十斗:さっきは養育費の話しをしたし、また面会交流もよくセットで問題になるよね。でも面会交流って「扶養と介護」というアプローチからはみられないよね。

弁護士:まず、民法が前提にしているのは、独立、平等、自由な個人を想定しているのだよね。でも実際は、フランスで増税に反対したデモが2018年クリスマスに頻発しているように、実際は経済的に不自由な人はたくさんいるし、精神的、身体的に不自由な人もいて自律的に生活できない人もいるんだね。市民社会では、社会保障法ができるまでは、こうした人々の援助をまず家族に求めたんだ。だから民法では家族が扶養と介護をするための条文もあるんだ。

十斗:養育費?

弁護士:うん。養育費は民法が中心だよね。自立できない人の類型は3つあるんだ。

① 身の回りの世話

②財産管理と法律行為の代理

③扶養(養育費)

十斗:こどもは、①から③はフルコースだよね。全部、親権者の権限だね。

弁護士:うん。問題は成人のケースを考えてみようか。もともと民法がカバーしている③の扶養以外は取り決めがないんだ。

十斗:成年後見人は??

弁護士:裁判所に関係者が申し立てて、選任されれば援助はなく、②の財産管理は法的な援助が受けられます。

十斗:問題は、身の回りの世話だね。民法はもともとどんな予定をしていたの??

弁護士:成人の場合はね、成人が一定の財産を持っていることが前提なんだ。そのうえで必要に応じて①及び②を他人に委ねる、例えば①は家政婦を雇う、②は弁護士を後見人にする、ということですね。そしてお金が足りない場合は③から援助してもらうということだと思います。自立自助を優先する仕組みですね。

十斗:ただ、ソーシャルセキュリティ法が制定された。

弁護士:まあ、介護保険ですね。介護保険制度が介護者や施設を確保したり、その費用を一部負担する仕組みをもうけ、③の援助を受けて、①②を続けるという自立自助を優先する仕組みですね。

自立自助の原則の限界

十斗:そもそも、日本では、これまで高齢や障害などで自立が難しい人を引き取り、ぜーんぶ①から③までやらせる総合的なものが伝統的だったよね。長男とか。

弁護士:うん。現在、三世代同居や親族と一緒に暮らす家族は減少し、①、②、③が分離する傾向にあります。例えば、①は老人ホーム、②は弁護士後見人、③こども兄弟による資金援助及び自分の預金というケースですね。でも分離した運用に慣れていないことから、引き取り型に落ち着くケースがなお続いています。

十斗:今までは引き取り型で援助するときは、②③は経済能力の高い男性、①は母、妻、嫁、娘として女性が担うという性別役割分担型が多かったんだよね。

弁護士:十斗はどうすんの?

十斗:うーん、僕はね、奥さんと結婚して男の子と女の子のこどもとパパで暮らすのが理想なんだよね。だから引き取り型で援助するのかなあ。でも、フランスでは、舅と同居する習慣がないんだって。だからパパはそばで住むよーといっているけど、ぼけちゃったらなんて。

弁護士:十斗とパパさんは年齢離れているしなあ。それに女性といえども、フランスでは働くのが当たり前だしねー。それにフランスはカップリングが多いからパパさんも再婚するかも。

十斗:いちばん①が最も現実の負担が大きいよね。担当者が固定できない悩みもありそう。

弁護士:そうだね。家族の中で男女が共に協力するだけではなく、家族が地域や社会のサポートを受けながら担っていくことが課題である。

十斗:次に障害がある人だね。

弁護士:この点、強く述べておかないといけないのは、人間は年を取ります。そうなると障碍者になる可能性があります。だから「オレは関係ない」という態度をとらず、障害者対策に共感を持ってほしいですね。

十斗:①及び②については障碍者の人は親族の援助が必要だね。③は障碍者年金や障碍者雇用促進法とかでカバーしているのかな。

弁護士:障碍者にも人権があります。特に継続的側面はたとえ一部でも能力に応じて負担することが、その人の自身や誇りになるということを考えなくてはなりません。

十斗:あとは、介護者と要介護者との関係性だね。こどもと親権者でも児童虐待とかあるじゃない?フランスではストリートキッズとかミッシングキッズとかは虐待から逃れてきた子が多い。フランスの場合、チャイルドセンターが充実しているけど。高齢者虐待なども問題だよね。

弁護士:介護者が要介護者を支配しがちになるということですね。要介護者が介護者の思い通りにならないとき感情が爆発してしまうことがあります。高齢者虐待防止法はこういう観点から高齢者の保護を目的としているわけだね。児童虐待も。

私的扶養の限界と家族介護の任意性

十斗:民法は扶養義務を課しているわけだけど、義務者自体の生活を犠牲にしてまで、両親の扶養などをしなくてはいけないのかな??

弁護士:難しい問題だね。高齢者が自分1人で生活できなくなった場合、もし扶養義務として高齢者を引き取って介護することを強制されてしまうと介護のために離職したり、ほぼ終日介護のために扶養義務者とその家族が心身をすり減らしたり、ストレスから高齢者を虐待するような事態も起こり得るのです。ですから自宅介護は強制されてはならないのです。

十斗:自宅での家族介護には限界があるんで介護保険が導入されたんだね。要介護度の高い人には、施設サービスが適しており、現在の入所待ちのような現状を改め、受け皿を増やす必要があるね。でも、なんか罪悪感を感じちゃうかな。ボク、父子家庭だし。パパの世話するの、僕だけだよねみたいな使命感がある。

弁護士:まあそのとき考えれば良いけど、選択肢は多い方がいいし、施設介護の場合でも、高齢者にとって家族との交流は何ものにも代えがたい楽しみなので、家族との交流は大事だよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

お金に関するお悩み