慰謝料

不貞行為の相手方のみを被告とするオーソドックス訴訟

 不貞行為の相手方のみを被告とした事例は多いといえますが、そのうち不貞慰謝料請求を認容率も比較的高いといえます。

平均は、約447万円?

 

 一般的に不貞の認容事例ですが、「請求額」、つまり寄り付きは447万円が平均とされています。そのうえで、ある統計によりますと、認容率の平均は216万円であるとか、152万円といった平均額の指摘が複数の統計論文で示されています。

 認容率は概ね3割程度で意外と低く、証拠との関係が重要になるということが分かるかと存じます。

共同不法行為

 基本的には、相手方のみを被告とする場合でも、不貞行為をした配偶者との共同不法行為性をも念頭において判断がなされているものといえます。しかし、具体的な金額の算定では、ほとんど相手方の関与の程度等を勘案して損害額を決定しているようです。

 この点、注目されるのは、不貞行為の一時的又は主要な責任は不貞行為をした配偶者にあるとして離婚調停や離婚訴訟で解決すべきで、その相手方の責任は副次的と指摘した裁判例があることは注目に値します。実感としては、裁判所に浸透しているとまではいえませんが、引用しつつ指摘すると目に留まる可能性もあるのではないでしょうか。

どちらが主導的であるのか

 配偶者と相手方のいずれが主導的であるかで、共同不法行為の内部の負担割合の問題であるものの、不貞相手が主導的であったとか、破綻原因に理由があるとか主張がなされることがあります。しかしながら、裁判所としては、これは「内部的な負担割合」の話しであり、裁判官の心証にどれだけ訴えかけられるのか、そういうことであるかと存じます。

求償権で他方が無資力であることも多い

 求償関係というのは、あくまで内部的な負担割合にすぎず外部には関係ない話です。しかし、一例を挙げると、被告の夫に原告の夫が支払った解決金を原告の夫が相手方に求償していることを考慮しており、一方で不貞行為をした夫が主導的であるということを考慮し、他方で相手方が不貞をした夫に求償しても無資力の危険を負担することを考慮しています。

 つまり、一例を挙げると、不倫妻に比べると、間男の関与の程度が低いと判断される場合、そのことから、その関与の程度に応じて減額しつつ、その認容する金額の限度においては、少なくともその部分を超える部分は不真正連帯債務であるので、不倫妻との共同不法行為となり、不倫妻に対して求償できるものと理解されています。

弁護士とシュシュとのパースペクティブ

弁護士:婚姻期間についてはどうなのでしょうかね。

シュシュ:判決文で婚姻期間と不貞行為の期間は記載されているよね。

弁護士:ざっくり20年以上の平均額は160万円、3年以下は140万円ていどになっているのかな、というとことです。たしかに婚姻期間や不貞期間の長さは賠償額に関わっています。

シュシュ:だけど、それほど大きく変わっていないという印象だよね。

弁護士:一番大きいのは保護法益は、夫婦共同生活の平和が乱された程度ということになりますので、不貞行為当時の円満の程度が一番問題になっているように思います。しかしながら、訴訟になっている場合は、かなり営利で感情的な訴訟になっていることが多いというのが特徴といえます。

シュシュ:叔父さんの説明だと円満だと160万円、中間的だと140万円、破綻の危機に瀕している場合は90万円といったところだよね。

シュシュ:叔父さんは不貞期間もあまり金額に影響を与えないとしているよね。

弁護士:そうですね。裁判では不貞の日付を特定した証明が求められることが多いし、期間が短ければ婚姻破綻とならないだろうということもないので、了解は可能ですよね。1年以下の場合は150万円、3~5年の場合は140万円、10年以上は190万円くらいですね。

シュシュ:まあ10年も不倫していると重婚といってもいいから、かなり有意な差があるけど、それ以外は、かえって1年以下の方が高額になるという「逆転」現象にも注目しないといけないね。不貞=破綻=離婚の因果が短期間であるほど慰謝料が高額になる可能性がありますね。

弁護士:態様の悪質さについては、どのようなものが態様が悪質であるかの類型化まではされていないのではないかと思います。典型例は、こどもを出産した例などが挙げられるとか、二回目の不倫などが挙げられると思います。

シュシュ:こどもがいるときはどうなるのさ。

弁護士:こどもがいる場合なんだけど、残念ながら、ほとんど裁判所は大きなファクターとしていませんが、家庭を破壊して、父親を奪うということもあるわけですから、ここは再考を促したいところですね。

弁護士:次に一部弁済の抗弁が提出されることがあります。配偶者の離婚が成立している場合ですが、財産分与は慰謝料ではありませんので、一度弁護士の法律相談を受けるかと良いかと思います。こうした一部弁済の抗弁は、ある論文では72件中2件しか取り上げられておらず、あまり有力な抗弁ではないですが、私は実際に控除された案件や主張された案件もありますが、専門的な法律の話しになっていきますので、弁護士にご相談されることをおすすめいたします。

シュシュ:僕の周りでは芸能人とか、資産家の場合はどうなんだろうねという人がいるかな。

弁護士:資産・収入について、これを慰謝料算定の理由として明記したものはありません。収入が大きくても裁判所は考慮の対象にはしない傾向にはありませんが、弁護士の多くは、慰謝料算定に影響を与えるという著作もあります。実際、資産家の精神的苦痛を慰謝するには相応額が必要なのではないかと思います。

シュシュ:最近は探偵さんの費用だよね。100万円くらいかかるからむずかしいよね。

弁護士:調査費用を不貞行為と相当因果関係のある損害として全額認容している事例が1例あるとされています。ただし、裁判所としては、慰謝料算定にあたり、5~10万円上げているという印象のように思われます。ただ、意外と統計上は、証拠収集の費用は損害にはならず、かつ、慰謝料額としても斟酌することはできないとしたものも多いのです。

シュシュ:でもねー。調査費用を費やさなくても他の方法で立証が可能というのは結果論にすぎないよね。証拠を収集するための費用と断じられるか分からないよ。特に不貞相手が全く分からない場合は調査せざるを得ないですもんね。他の証拠がある場合は、逆をいえば他に証拠がなければ賠償の範囲に入る可能性があります。次に、証拠や裁判をする費用と位置付けると証拠収集費用の相当額の問題になってくるということになるよね。

 

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