慰謝料

離婚はせずに慰謝料請求する

離婚はせずに慰謝料請求をすることは可能でしょうか。

この場合、(い)夫や妻等配偶者に請求する場合、(ろ)不貞の相手方に請求する場合―の2つに分かれることになります。

1 (い)婚姻中に配偶者に離婚請求をされる方はかなりめずらしいと思います。
  有責配偶者からの離婚請求となり昭和62年の最高裁の法理が適用され離婚ができない場合でも、被害者の側から配偶者に慰謝料請求をすれば婚姻は破綻しており、あとは信義則に反しなければ離婚は認められるという整理になりやすくなります。したがって、私も有責配偶者のケースで被害者から加害者に婚姻中に婚姻破綻を理由に慰謝料請求をしたことはございますがそれほど多くはありません。やはり、離婚はせずに生活費、婚姻費用をもらいたいという方が多いのが有責配偶者からの離婚請求ですから、このようなケースの場合、そもそも被害者の側から離婚請求をして離婚慰謝料を請求するケースの方が多いと思います。

2 (ろ)不貞の相手方に対する請求
  離婚はせずに慰謝料請求をする場合は不貞の相手方に請求をするのがお勧めです!裁判官によれば、あまり離婚慰謝料と不貞慰謝料の区別は意識的にはしていないそうで、寄与度減額のような主張も意味がないのではないかとの意見も裁判所の中にはあるようです。
 慰謝料請求については証拠が大事です。肉体関係を推知させる証拠が必要となります。従前の裁判例では、当事者双方の社会的地位、第三者の資力、不貞行為当事者の積極性の強弱、不貞行為前後における夫婦間の状況、被害配偶者の苦痛の程度、不貞行為の回数、期間、同棲の有無などの態様、子の出産の有無、婚姻破綻の有無が考慮されていました。

  ところが、この点については、大きな変化が起きているようです。
  近時の裁判例では、裁判所による裁判では当事者の収入や社会的地位、学歴などを慰謝料算定の考慮事項に直接いれないとの見解も多いですが示談交渉レベルでは、従前の例によっているケースが多いように感じます。裁判官的判断では、社会的地位のある者とそうでない者が行う不貞行為には何ら差異はないはずであり、所有資産の有無、多寡という事実自体によって慰謝料の額が増えたり減ったりすることに合理性があるとは思えないからなそうです。しかし、生活水準が異なれば慰謝される金額が異なるのは当然のことであり、弁護士によるアンケートでは、資産、収入、職業などは、慰謝料の算定要素になると考えている弁護士が多いようです。示談交渉の方がやや高い水準を示すのはそのような背景もあるかもしれません。ただ、裁判所も医師、弁護士、税理士、公認会計士、プロ騎士、タレントではとくべつの考慮をした例もあるようです。

 タレントの離婚で解決金が1億円となりましたが、離婚によって被る経済的利益が大きいとの指摘が妥当し弁護士アンケートに近いと思われます。

3 証拠は被告に多いとされているそうですが、私はそうも思いませんが感情的な理由から、不貞についての認否が行われた後、ひと泡吹かせるため証拠が弾劾的に後出しされる傾向にあるとされ、こどもの監護権が争われている場合でも審理終結日に不倫の探偵資料を出す弁護士もいます。なお、裁判官としては、こどもがいる場合は、夫婦間、不貞関係間それぞれにつき、こどもの有無において責任を加重する側面があるためまだ議論を煮詰まっていないものと考えられているようです。

4 離婚はせずに慰謝料を請求する場合は探偵資料など一級資料を持っている場合に限られるような気がしますが、自ら夫婦共同生活の平和の維持という利益に波風を立てるという側面もありますから、不貞相手のみに対する請求が妥当のように思います。

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