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離婚時に取り決めた財産分与の内容に納得できないとき、やり直しができるのか?

離婚時に取り決めた財産分与の内容に納得できないとき、やり直しができるのか?

 

離婚する際に夫婦間で財産分与の取り決めをしても、後になって相手が財産隠しをしていたりして「やっぱり納得できない」と考えるケースがあるものです。

そんなとき、いったん決めた財産分与をやり直すことはできるのでしょうか?このような相談はレアケースのように思いますが、私も5件ほど受任して、解決をしたことがあります。一件は争いが激しく名古屋高等裁判所にアピール(即時抗告)をして、裁判官のスタンダートと違う、と指摘しましたが、認められなかった想い出があります。

 今回は離婚時の財産分与をやり直せる場合とやり直せない場合について、名古屋の弁護士が解説します。

 

 

1.財産分与は原則としてやり直せない

離婚するときにいったん財産分与の取り決めをしたら、後で「やはり内容が気に入らないと思っても、原則的にはやり直しはできません。財産分与の取り決めをした時点で確定的に財産分与契約が成立するからです。いったん契約が成立した以上、一方当事者の意思によって契約を無効にすることは認められません。

 

このことは、財産分与の方法によっても変わりません。

判決や調停、和解などの裁判所が関与して取り決めた場合に限らず、協議離婚で自分達だけで話し合って決めた場合でも、いったん取り決めた財産分与のやり直しはできません。つまり、調停というのは、当事者間の協議がまとまらない場合、家庭裁判所が決めることができるので、協議がまとまっている場合は調停はできないのです。

 

2.相手が財産隠ししていた場合

しかし一定のケースでは、離婚後に財産分与のやり直しが認められる可能性があります。

1つは、離婚時に相手が財産隠しをしていた場合です。

この場合、隠されていた配偶者は財産分与の前提となる財産の内容について誤解していたので「錯誤」が認められます。そこで「錯誤無効」を主張して財産分与をやり直すことが可能です。

また相手が故意に財産を隠した場合には、相手による「詐欺」があったとも考えられます。その場合には「詐欺取消」を行い、財産分与の効果を取り消してやり直すことができます。もっとも、法律家である弁護士や司法書士が介在して、離婚協議書を作成している場合は、その他の財産は、誰それの所有とするとか、これ以上の財産の移動はしないとの清算条項をもうけていることが多いといえます。

事後的トラブルを防止するためにも、登記と同様、離婚は重要な身分変動が伴いますので離婚協議書くらいは弁護士などに作成してもらった方が良いでしょう。費用も多くはかかりません。

 

3.後日、新たな財産が発見された場合

相手がわざと隠していたわけではなく、後日になって2人とも知らなかった財産が発見された場合にはどうなるのでしょうか?

その場合、新たな財産についてはまだ合意ができていないので、その部分についてやり直しをできます。ただし清算条項がない場合に限られるでしょう。

ただし、離婚時に財産分与を取り決めるとき「新たに財産が見つかった場合には妻が取得する」「新たに財産が見つかった場合には、名義人が取得する」などと新たな財産の分け方を決めていた場合には、わざわざ話し合いをやり直さずにその方法によって分けます。

 

4.相手から脅された場合

離婚時、本当は相手から提示された条件に納得していなかったけれど、脅されて財産分与契約書や協議離婚合意書にサインさせられた、というケースがあります。このような争いで証人を多数呼び出し家裁で取り調べたケースもありました。具体的には、ステーキ屋での口頭での合意が財産分与の成立といるか、という点でしたが、1対多数という関係でしたので、相手から脅かされた場合にあたるといわれてしまう可能性もありました。

そういった場合には「強迫」によって意思表示を取り消すことが可能です。

契約を取り消すと無効になるので再度財産分与をやり直せます。

 

5.当初の財産分与の内容が不当な場合

財産分与の方法は基本的に自由なので、夫婦双方が納得すればどのような内容の取り決めもできます。しかし一定の場合には、「公序良俗」に反して無効になったり、「権利濫用」として請求が制限されたりします。

たとえば、夫婦の婚姻期間が短く、妻に十分な生活力があるにもかかわらず、夫が妻にすべての財産を分与した上、夫が退職するまでの長期間住宅ローンと給与やボーナスの大部分を支払い続けるなどの「搾取」とも言えるような財産分与契約は、無効となったり妻からの権利行使を制限されたりする可能性があります。

 

このような場合、夫が妻に「この契約は公序良俗に反して無効」「権利濫用だから請求は認められない」などと言っても妻は納得しないものです。夫が無効を主張するには「財産分与契約無効確認訴訟」などの訴訟を起こす必要があります。

ただ、一時的には家裁で調停を起こすのが良いとも思います。この点は、戦略をもって弁護をする名古屋駅ヒラソル法律事務所の財産分与に関する相談をご利用ください。

6.相手の合意があれば解除できる

財産分与は、1種の契約です。契約は当事者が任意で行うものなので、両当事者が解除に合意すれば効力を失わせることが可能です。

そこで財産分与の内容に納得できない場合、相手に連絡を入れて「もう一度やり直したい」と伝えましょう。相手がやり直しに納得すれば、再度話し合いをして財産分与をやり直すことが可能です。この方法であれば裁判などをして争う必要はありません。

 

 

7.債務不履行解除は認められない

いったん財産分与の約束をしたけれども、相手が約束を守らないケースがあります。その場合「債務不履行解除」をして財産分与をやり直すことができるのでしょうか?

 

債務不履行解除とは、契約の相手方が契約内容を守らないときに、契約を解除する(なかったことにする)ことです。売買契約や賃貸借契約などの一般的な契約には債務不履行解除が認められています。

しかし財産分与については裁判をしても債務不履行解除が認められない可能性が高く、相手が約束を守らない場合には、強制執行(差押え)によって権利を実現する必要があります。

 

 

8.税金がかからないと思い込んでいた場合

不動産の財産分与をすると税金が発生するケースがあります。そんなとき、本当は自分に税金がかかるのに相手に税金がかかり、自分にはかからないと思い込んでいる方がいます。税金に関して勘違いをしていた場合、必ずではありませんが財産分与のやり直しができる可能性があります。「錯誤無効」が認められるためです。

ただし勘違いしたことについて重過失がある場合には錯誤無効を主張できません。

特に、最高裁の救済判例で有名なものが出されて以降、譲渡側に所得税の認定課税がなされる恐れがあることや、取得側に不動産取得税などもろもろの税金がかかることは意識されているので、特に譲渡側は税金の課税がないか、それほど心配はないかもしれませんが一応問題意識は持ちましょう。 

9.財産分与の期限に注意

錯誤無効や詐欺・強迫による取消、権利濫用など、さまざまな理由で財産分与のやり直しを請求できるケースがありますが、そういった場合「財産分与の期間制限」に注意が必要です。

財産分与は「離婚後2年間」にしか認められません。その期間を過ぎると、どのような理由があっても財産分与できなくなります。無効の主張や取消をしても、そのときにすでに離婚後2年が経過していたら、結局やり直しができないのです。

 

ただし相手が財産を隠していた場合や相手から暴力を振るわれて脅されていた場合などには、相手に「不法行為」が成立します。不法行為については「損害と加害者を知ってから3年間」損害賠償請求権が維持されるので、財産隠しなどが発覚してから3年間は賠償金の請求をできる可能性があります。

また、相手に対し、不当利得返還請求権を行使できる可能性もあります。

 

離婚時の財産分与内容に納得できない場合、やり直しができるかできないかを判断するには法的な専門知識が必要です。また相手に改めて財産分与を請求するとき、話し合いで解決できなければ訴訟をしなければなりません。除斥期間の制限もありますので、お早めに名古屋駅ヒラソル法律事務所の弁護士までご相談ください。法律相談を受け付けておりますし類似案件も扱い経験があります。

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