再婚

財産分与に際して、将来の再婚を見越した注意点はありますか

 基本的には、財産分与は夫婦の財産を二等分する清算的財産分与が中心ですから再婚への影響はあまりありません。しかし、再婚後、新生活を考えると、自宅を取得するのは、避けた方が良いかもしれません。

 通常であれば、安住の地を手に入れるため、女性は財産分与で自宅の取得を希望することも少なくありませんが、再婚が視野の場合はなぜ自宅取得を避けるべきなのでしょうか。

 繰り返すとおり、財産分与は、離婚する際に、夫婦の財産を清算するだけです。ゆえに、合算した上で、これを折半するのが原則です。ですから基本的に再婚に影響を及ぼすことはありません。

前婚を思い出してしまい、心理的につらい思いをするかも

 せっかく財産分与として自宅を取得しても、再婚相手が前婚時の「愛の巣」である自宅に住むことを嫌がれば、結局は売却処分しなければならず、手間と費用がかかります。

 さらに、再婚後、当該自宅に住むと、前婚時の想い出がでてきます。

 前夫・前妻の匂いのしみついた自宅に住むことが、再婚相手の神経を逆なでして、再婚後の夫婦げんかの原因になるかもしれません。このように色々考えると、近い将来、再婚を予定している場合には、預貯金などの流動資産を得ておいた方が良い可能性もあります。しかも財産分与として、自宅を取得する場合、住宅ローンも引き継ぐことがありますので、再婚後も住宅ローンを支払い続けることになります。このことが再婚後の婚姻生活を経済的に圧迫する恐れもあります。

 とはいえ、これは一般論です。例えばですが、母親の援助で自宅を用意してもらった場合などは、再婚後も、その自宅に住むという経験もしてきましたので、心理的に気にならなければよいでしょう。しかし、賃貸借業者ですら「心理的瑕疵」というテーマは重視していますので、少しだけ考えてみましましょう。

扶養的財産分与

 

 財産分与は、清算的財産分与が中心を占めていますが、場合によっては、離婚後も元夫婦間で扶養が認められる場合があります。特に有責配偶者からの離婚請求の場合にみられます。そして、これを扶養的財産分与といいます。

 しかしながら、本来であれば赤の他人であるはずです。しかし、そのように杓子定規に考えると、これまで長い間専業主婦をしてきた主婦の場合や幼少の子がいる場合は、すぐには仕事に就くことができなくなり、「著しく過酷」になることがあるのです。そこで、離婚した後でも、妻への生活費の支払を条件に離婚してもらうというケースがあります。

 扶養的財産分与には権利性はありません。なぜなら、離婚後は福祉に委ねられるべきとも考えられるからです。妻が生活に困窮している特段の事情がある場合に認められ、再婚をすれば扶養的財産分与は打ち切られるのが相当であると考えられます(新潟地裁長岡支部昭和43年7月19日判決)。

 したがって、扶養的財産分与を受けている妻が再婚した場合には、前夫に対して、これを隠してその後も扶養的財産分与を受け取り続けた場合は返還請求を受ける可能性があります。妻に扶養義務を負うのは夫であり、前夫ではないと理論的に考えられるからなのです(民法752条)。

 

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