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 家事事件手続代理人をしていると、子どもと面談することがあります。

 こうしたことは、二宮周平「離婚紛争の合意による解決と子の意思の尊重」40ページにおいても紹介されており、代理人弁護士が子どもと面談することもあります。

 もっとも、民法は、子の利益を最も尊重して決定しなければならない、と規定しています。離婚紛争の解決に関与する弁護士は、夫婦という対立する当事者の代理人であることから、依頼者に寄り添うことが求められますが、他方、子の利益を尊重することも求められます。究極的には相容れないところもあるかもしれませんが、弁護士は親の気持ち、親の子どもに対する想いを受け止めることが必要となります。しかしながら、弁護士は、可能な限り代理人や調停委員と協業する調整機能が求められます。そこで、場合によっては、お子さんの面談を求める弁護士も比較的いると紹介されています。

 もっとも、弁護士の側も子どもと接触する機会を得たとしても、表面的な子どもの気持ちを把握できない場合や依頼者の代理人として子どもにプレッシャーを与えることの内容に、その面談は、終始和やかに行われ、開かれた質問と傾聴を繰り返して心理状態など子の心情を含めて判断していくことになります。

 子どもの家庭裁判所の調査も結局、司法機関における手続に直接巻き込むことになることやそれが審判の行方をダイレクトに左右されることから、その重要性が高く、子どもも紛争に巻き込まれるという批判もありました。しかしながら、違和感を感じるのは、子どもがきちんとした場と手続のもとで意見表明することが軽視されています。子どもの意見を伝えることは両親に内省を迫ることにもなるからです。これまで、「子の福祉」という用語を使い、主に主たる監護者の都合を投影して判断をしてきましたが、子の意向は必要的判断事項との見解を示す裁判官をあらわれ、子の意見表明権は、声なき声に泣いてきた子どもにとって大きな成果といえるかと思います。

 2年程前までは、家事事件について子の意思を考慮するかどうかは裁判官の自由裁量とされていましたが、子の意思は必要的判断事項とする考え方が、子の意向表明権と相まって通説的な見解を占めています。子の意思については、自律性が認められる限り尊重されるべきですし、子の意思の自律が乏しい場合、旧法化の運用が染みついている方が調停官になると不当な調停運営をするということがあります。子の意思の自律が乏しい段階では、子の意思の忠実な把握、理解が重要であるといえます。

 数年前のことになるが、多くの少年事件をやり、心理調査を行い少年とのケースワークを重ねている中で、両親の離婚、兄弟の別離についての話題になることがあった。
 かえって、自分の身よりも母親の身を案じている少年の姿が印象的であったが、中学生程度の子どもが母親のことを案じているという経験はよくしたことであった。こうしたセッションは、少年が素の自分と向かい会い、歩むべき道をみつけ心を磨くために必要な作業だと考えている。

 ところが、家事事件の担当になると、父母について子の真意を聴き出すことは残酷である、といった批判に接することもあったが、松江家裁の調査官グループによって、このような考え方は否定されています。そして少年事件はどれだけ自分に向かい会ってもらうかがポイントとなりますが、家事事件では、子どもはこれまで意見表明の機会もなく、継続性の原則、母子優先の原則、兄弟不分離といった原則で、声なき声がかき消されていることには大きな違和感を感じました。これはマターナリスティックではないかと思います。たしかに、子どもの生活環境は大事ですが、有意な差はないというケースが多いといえます。そうした場合は、子の意見を傾聴することから、親に適切にフィードバックしてあげる仕組みが必要になります。

 しかし、子の意向表明権と相まって、これまでのマターナリスティックな運用がどこまで見直されるのかが注目されます。これまで子の福祉というのは、現実には子連れ別居した一方の親の都合であることが多く、諸外国から激しく批判されてきました。

 今後も、当事務所は離婚案件について独自のエンパワーメントをもって解決にあたっていきたいと思います。

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