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夫婦別姓、再婚禁止期間の最高裁弁論が11月4日に行われました。

一般的には,弁論を開催する場合は,原審を見直す場合が多いのですが,今回は,弁論を開催したとしても,それぞれ憲法に違反するという判断にはならないと思います。

最高裁は,3つの小法廷から構成されており,その昔は各法廷の判例も区別されていたほどでした。現在,大法廷への回付というのは,一般的には,小法廷内の多数決では3対2で違憲と結論付けられた場合に,違憲判断を回避するために大法廷に回付することが多いと考えられています。つまり,大法廷では多数派は合憲なのですが小法廷では多数派がひっくりかえる小法廷があるというわけなのです。夫婦別姓や再婚禁止について憲法に違反するのか,簡単に議論の経過を振り返ってみましょう。

1 民法上の問題には憲法学は冷淡
 夫婦別姓や再婚禁止期間に憲法学は総じて関心が低かったといえると思います。ですから,民法上の「人格権」として保障されるとしても,憲法上の権利となるかについて意識があまりされていなかったと思います。東大系の三冊を読んでも夫婦別姓にふれているものはありません。やはり憲法学の関心は憲法9条を除くと,現在はドイツ的な国民保護義務論のようなテーマもありますが,表現の自由の法理,精神的自由と経済的自由との間に価値の差はあるのか,といった点がテーマのような気がします。
 すなわち,国家対市民という,ステレオタイプの構造でいくと,家族の問題が憲法問題になることはないという,疎外感ならぬ除外感があったのかもしれません。

2 家族の問題も憲法上の価値観を取り入れた討議が必要
 家族の問題にも憲法上の問題は生じえると思います。ただ,家族は女性の価値観だけではなく,こどもの価値観,LGBTといった価値観も取り入れられることが望ましいといえます。
 さて,夫婦別姓については,現在問題になっているのは専ら大学教授が論文などを公表する際,戸籍上の氏名のみとされてしまうと,これまでの研究成果との結合がうまくなされないといった理由から実質的な夫婦別姓を主張していた例がみられ,しかも公務員関係であることから,一般にテレビ番組で「夫婦別姓はいいと思うか悪いと思うか」という○、×よりも事案は実際上の必要性に迫られてきました。
 さて,思うに日本では性別による差別は極めて厳しいものがありましたが,日本国憲法14条、24条、44条を受けて法改正が行われ,まず政治的・社会的・経済的なテーマでの国が取り扱う男女の差はなくなったといえると思います。時代には流れがあり,最初は,婦女参政権からスタートして,はじめは参政権及び家族関係の法制度における不合理な差別を撤廃すること,大学入試や就職でのポジティブアクションが第一時代といえます。次に,男女の役割分担論自体が性差別として排斥されるようになってきました。これはこれまで男性が主に担っていた警察官や自衛官などにも女性が進出し始めたなどから,その思想は男女雇用機会均等法や労働基準法に表れていて,第二時代といえるのです。そして,第三時代は一見平等なのだけど,国が事実上,市民を平等に扱っていないという間接差別の問題かもしれません。

3 再婚禁止は100日に限定しても合憲性に問題がある
 女性のみ再婚禁止期間が6か月ありますが,男性にはありません。かかる差別は違憲というべきですが,違憲性阻却事由はあるのでしょうか。この点,日本では,嫡出制度がとられておりこどもの観点から父親を早期に画定させ扶養などの権利を取得させる点に目的があります。そうすると,民法の規定では離婚後300日は離婚した夫のこどもとして嫡出子の推定が及ぶことになります。
 嫡出の重複を避けるというのが再婚禁止期間の趣旨なのですが,私は「父を定める訴え」もあるし重複しても良いではないかと考えています。民法改正要綱案では100日として存続するとの案となっていることから,最高裁が民法改正要綱を超えてまで違憲の判断をするかどうかはわかりません。ただ,本件は,こどもの保護という価値観を強調しない限り,説明のとおり第一時代の女性差別といえるかもしれません。月並みですが,母法のフランス法では,300日の再婚禁止期間は廃止されています。個人的には,女性差別の第一時代の遺物,DNA鑑定により父子関係の確定は容易であり嫡出制度自体の合理性が問われるに至っている,離婚に至るまでに別居期間があることが多く,300日というのは離婚夫婦の実情に合っていないというところに理由があります。なお,大学では100日を超える部分は違憲だと教えるのが普通となっています。したがって,若い法律家たちは100日を超える部分はみな違憲、との意見をいう状態だと思います。
 最高裁は,嫡出推定の合理性を挙げて合憲と判断した最判平成7年12月5日判時1563号81頁を変更しないかな,という予想があります。私は,再婚禁止の原告がどのような人たちか知りませんが,いわゆる無戸籍状態のこどもたちの救済など,嫡出推定の合理性の副作用にも言及するべきものと考えます。

4 夫婦別姓は難しい
 夫婦別姓は,国が同一の氏を名乗るように「みんな」に強制しており,男性でも女性でもどちらの氏を名乗っても良いので,女性だけの不合理な差別も,女性役割分担論による差別もないのです。しかし,入籍というように,社会慣習ではほとんどが,男性の氏を名乗ることになっています。こうした問題を間接差別と呼び,ディスパレート・インパクトと呼ばれる法理です。

 しかし,国は,表面上何の差別もしていません。お婿さんになってもらってもいいのです。実際そういう人もたくさんいます。

 したがって,夫婦がそろって同じ氏という強制自体が違憲ということになると思うのですが,これを憲法14条との関係で扱うことは形式論からすると難しいところだと思います。
 
 氏名,特に氏については,各国の考え方が様々なものであり,日本では明治時代まで、名字(苗字)は姓(本姓)と異なり、名や字(あざな)と同じように節目節目に変える文化があったので,もともと氏名は不変ではないという考え方もありました。そして,明治になると文明開化の名の下に姓は廃止され苗字と統合され、姓と苗字(名字)の区別がなくなった。あわせて当時の先進諸国が導入したように日本でも法律により苗字の勝手な変更は禁止され、婚姻や養子縁組等による変更以外は固定されることとなったという経過があり,明治時代における海外法の導入に軸足を合わせたものと評価できます。

 たしかに,西欧の一部でもキリスト教思想の下で夫婦一体という観点から、夫婦同氏を実現するために婚姻に際して氏を変更する権利が認められ、特にプロテスタント色の強いドイツでは、夫婦同氏が強制されるに至った。これに対して、儒教的な文化が強い東洋では、父の氏の変更を伴う夫婦同姓は認められなかったとされています。中国や韓国、明治前半までの日本などでは血縁についての意識が強いために別氏を原則としていた。日本は、近代に入ってからも1898年に明治民法が制定されるまでは妻は生家の姓を用いることとされており(明治9年3月17日太政官指令15号参照)、夫婦別姓であった。

 つまりは血縁を重視すると,むしろ夫婦自体の価値が重視されなくなるので別姓になるという論理ですね。しかし,こうした考え方は時代錯誤のもので支持されることはないといえるでしょう。

 議論の整理をしたいと思います。

 夫婦の価値を重視する→夫婦同姓となりやすい。ただし,夫婦が「個別」活動をすることを論拠に別氏を認めるという「アトミズム」論が論拠となっており「個」の尊重からすると納得はできるが,我が国では論拠が弱いように思う。

 夫婦の価値を重視しない→父系主義など血縁主義につながり,夫婦別姓論になりやすい。

 氏と名の組み合わせで個人を特定する制度ないし習慣を持つ国々→周知のように、夫婦別氏あるいは旧姓の併用を認める国がほとんど。
 日本も基本的には氏名の組み合わせで個人を特定していますから,ロジックとして,氏がAorBがあって,名前がCとすると,ABでもACでも氏名の識別は変わらないという議論と考えられます。
 比較法的に見ると、日本のように夫婦同氏を強制する国はめずらしいといわれています。ドイツ法では特に申し出がない限り夫の姓を用いる同姓とされていたが、この規定が違憲とされ、夫婦の姓を定めないと別姓になるように改正されています(ドイツ民法1355条)。日本でも,実態としては,氏名の組み合わせで識別をしていますが,裁判所は氏名一体となってはじめて個人が識別されるといった特殊な論理を持ち出すかもしれませんね。

 1991 年 3 月に連邦憲法裁判所は、1976 年改革法による夫婦の氏規制を平等原則違反として違憲であるとしています。
 論拠は,夫婦の意思が一致せず表明されないときは、夫の氏をもって婚姻氏とすることを規定して,この部分が平等原則に反するとしました。
 そして、夫婦の氏規制全体を違憲とされています。

4 夫婦別姓も実は少数派
 あなたは結婚したら夫の氏を名乗りたいですか、という質問には,お国柄が出ます。そういう慣習が強いところでは,そういう結果が出るのでドイツでも違憲判決がでたからといって,夫婦別姓が促進されたという結果は起こらなかったといわれています。

 論理的には,血縁を重視する立場は難しく,夫婦の価値を重視する立場から夫婦同姓を基調としながら,個人の尊厳を認めるべき特段の事情がある場合には,違憲になるといった個人の基本的人権論に根拠を求めるほかはないように思います。

5 最高裁は,スパイスを与えたらどうか。
 自民党では,夫婦別姓議論は,家族の崩壊につながるといった反対論があるようですが,一応血縁主義に基づいた主張に見えて夫婦を中心とした家族観があるということができるでしょう。そして,アメリカ連邦最高裁は,夫婦の絆は単に1+1を超越する力があると論じています。ですから,その一つとして同姓というのも結合を超えて超越した力を発揮することに必要だと思いますが,今回は働く女性が戸籍上の氏名のみでは苦労している面もあるというクローズアップもあります。

 個人的には,離婚すると氏が変わりますので,夫婦別姓により特に理由なく氏が変わったという社会では,離婚のこどもが差別されなくなるといった問題や,これまでよりも氏に対する,あるいは家に対する執着をなくすことができるのではないか、と思います。また,いわば離婚後の続称とも平仄がとれていないのではないかとも。つまり離婚した場合は夫の氏を名乗っても良いのに,婚姻中は旧姓を名乗る措置がないのは,数は少ないとはいえ必要性が,社会科学のみならず感情的な問題からもそういう人はあると思います。過剰包摂、つまり「やりすぎ」という観点から,最高裁は指摘をしてくれると良いのですが,また立法政策上の措置が待たれる判決になるような印象がありますね。

 人権というのは,今,見えない問題を扱うものです。したがって,今,多くの人がなんで?と不思議に思うことでも,将来に向かっては,かけがえのない人生を生き抜くために必要不可欠な権利となることもあります。こうしたところを,安倍政権の女性活躍という三本の矢というのは実は相性が良いと思うのですけれどもね。




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