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1 婚姻費用では、大学費用に関する裁判例も集積されてきたと思うのですが、養育費の場合はどうなのでしょうか。
  養育費は、既に離婚をして、母が親権を持っている場合、教育方針を決めるのは親権者である母ということになります。
  そして,例えば東大に進学することになったので、下宿代、学費代を父に負担を求めることができるのでしょうか。

2 一般的には、婚姻費用と比較すると、養育費の場合は、否定的に働きやすいということがいえるかと思います。
  そもそも、東京⇒大阪⇒名古屋の順番で教育のトレンドは訪れますが、大学費用は自己負担が最近は主流で、奨学金で対応しているというケースも多いといえます。
  フランスなどの大学も特にレベルの高い大学は無料なのですが、それは選抜も厳しいからで、必ずしもフランスでもすべての大学が無料というわけではありません。

3 さて、裁判官Aは、養育費の算定表のうち、基礎収入で按分で割り付けた金額としました。
  裁判官Bは、公立学校で考慮済みのものを除いた部分を割り付けるという方式をとりましたが、分かりにくい決定です。(大阪高裁平成27年4月22日)

4 解説では、公立高校の金額の控除を怠った点で、原審Aは初歩的なミスをしているので論外ですね。問題は、割り付けの仕方なのです。

5 第一は収入割合に応じて案分、第二は2分の1説、第三は子も超過教育関係費の一部を負担するものとして養育費を算定する、第四は大学教育費については、全額子の負担として生活費相当額を父母が負担する、という4つの見解が示されています。

6 イメージで申し上げると、調停では、お子さんの年齢などに応じたり、父や母の資力に応じたりしているように思います。

7 ここでポイントになっているのは、父が養育費として負担すべき大学費用は、単純に、父母の所得から決めるのではなく、子の大学進学の経緯や親の収入等を考慮して、国立大学の学費標準額及び通学費から、標準算定方式において考慮されている公立高校の学費をオーバーフローしている部分に、父が負担すべき割合を乗じる、というものですが、かなりふわふわした規範ということは分かると思います。

8 分かりやすくいえば事例判例なんだな、ということですね。

9 この判決では、こどもが高校生くらいだったというのがポイントです。高校生ならば大学進学か就職は1年生から視野に入ってきます。本件では、東大進学が視野に入って高校を選んでいたという事情が認定されているようです。本件では、父が負担すべき割合を3分の1としました。なぜ、3分の1なのか、これはよく分かりませんが、いずれにしても奨学金を受けて、親が全部負担するつもりは離婚しなくてもなかったという事実関係があったようです。

10 もっとも、この決定の理論的視座としては、高校で大学進学が前提となる場合は養育費の加算調整の対象となる、養育費の加算調整といっても婚姻費用ではなく父の法的安定性もある、基本的には親権者が生活の資力などを総合勘案して進学先を決めるべきで、父が関与できない事柄について金銭だけ多く請求することは不当、こういった事情からよく理由は分からないが3分の1となっているようです。これも離婚時すぐの議論なのか、しばらくしてからの議論なのかについても議論が分かれるところですね。今後、18歳選挙権の影響などもあり、面会交流などをして勉学状況を把握していない場合は、上記でいえば、第四説くらいが限界ではないかと思われます。

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