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名古屋の離婚弁護士のコラムです。

さて、婚姻費用で財産分与的発想を取り入れている裁判官が名古屋にいるため、これら問題点について検討する必要性に迫られています。

裁判例をならべて思うに、離婚に伴う財産分与の中で過去の婚姻費用をどのように取り扱うか、という問題と、婚姻費用分担の手続の中で財産分与的な発想を取り込むべきかどうかという問題が含まれているように思います。

この点、婚姻費用分担義務については、財産分与について清算されるのが望ましいとしながらも、人事訴訟の文献では婚姻費用の枠組みでの処理が望ましいとされています。

最高裁は、財産分与の中で、過去の婚姻費用分担の態様を斟酌することは可能、とあるのですが、可能なのは終局的にお金の問題は、財産分与で清算されるのですから当たり前のことをいっているにすぎません。問題は、専ら又は主としてどちらで解決するべきなのか、ということです。

この点、離婚と同時に財産分与がなされなかった場合、離婚前の未払婚姻費用を離婚後に請求することができるのでしょうか。理論的には、婚姻費用分担義務は離婚によって消滅してしまうのですから、消滅したと解することも可能ですが、民法は離婚後2年に限り財産分与の請求を認めているのですから、ここで考慮すること、すなわち、離婚により財産分与手続の一部に変質して存続して当事者が共有財産から支出した金額を考慮して判断した裁判例もあります(大阪高裁平成11年2月22日決定)。

次に、権利者が別居に際して夫婦共同財産を持ち出した場合、婚姻費用の算定に当たって考量するべきかについては、財産分与で処理されるべき、との見解が一般的です。

しかしながら、名古屋家裁の一部裁判官のように、持ち出した財産を考慮した例もあります。近時の裁判例としては、持ち出される預金の少なくとも2分の1に相当する部分は婚姻費用の支払にあてうるので、現時点で婚姻費用分担義務はないとしたものがあります(札幌高裁平成16年5月31日)。持ち出した財産の2分の1に限定すれば、当該夫婦共有財産のうち義務者の取得分に相当するから、これを義務者である夫の支払うべき婚姻費用に充当したものと取り扱っても権利者である妻の利益を害さないという見解の前提のもとと思われます。

しかし、財産分与財産は、もめれば離婚訴訟に発展するもので、簡易迅速に判断できない以上、多額の持ち出しの場合は婚姻費用の否定を一応否定し、発生分については財産分与で調整するという考え方が現実的であろうとも思えます。他方、通説は、権利者が財産の一部のみを持ち出されたときは、後で財産分与で持ち出した財産全部が権利者に分与される可能性があり、その2分の1を婚姻費用に充当することが常に妥当とはいえないともいわれます(量的に考慮することは可能である。)。しかし、結局、財産全体を審理しなければ、持ち出された財産が義務者に取得させるべき財産といえるか否かが確定できない。そこで、一般的には財産の持ち出しについては、婚姻費用分担の場面で敢えて財産の持ち出しを考慮する必要性はないと思われるというのが通説です。

たしかに、婚姻費用で財産分与的処理をされてしまうと、財産全体の審理をしていないのに、卑近な持ち出し財産をもって加算減算の対象にしていますが、そもそも別居地が財産分与基準時である以上、財産分与のおける清算の対象の限界を超えているのではないかという素朴な疑問を禁じ得ないと考えられます。

名古屋家裁の一部裁判官は妥当な解決策で「2」という5段階評価中最低の評価をもらっていますが、この裁判官の特徴が婚姻費用で財産分与的処理をするということです。しかし、本来、財産分与でも請求が困難なものについて加算減算して、婚姻費用をいたずらに増やしたり減らしたり、また加算調整の準則もなく、不確実性と不透明性を募らせており、一方当事者に強い優越感、ある種のごね得を許しているということと、他方当事者に強い敗北感を与えていること、加算調整に関する論文にもないことをしており準則に基づいていないことに照らして、「解決の妥当性」が「2」と評価されていると思われます。細かい加算減算に目を奪われ、計算が間違っていることも少なくなく、試行錯誤は評価に値するものの、「据わり」を理解していないことから強い非難を浴びる結果となっているというべきでしょう。このように考えてみると、婚姻費用での財産分与的処理は許されないと解する方が公平なように思われます。

名古屋家裁の一部裁判官の処理は、財産分与の法律関係がいたずらに複雑化すること、婚姻費用は継続的収入に基づいて算定される性質のものであり、継続的収入を得ている限り資産は考慮の対象外とするべき点を無視しており、妥当でないといわざるを得ません。

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